2026年4月26日(日)

古希バックパッカー海外放浪記

2026年4月26日

(2025.11.7~12.25 49日間 総費用13万7000円〈航空券含む〉)

泣きっ面に蜂、ジョージアでのゲストハウス経営の落とし穴

 W氏は建物の所有者の老人と賃貸契約を交わし、ゲストハウスとして必要となる備品として扇風機10個、マットレス24個、その他の調度品を購入。得意のIT技術を駆使して宣伝・予約するサイトを自作して欧米人や中国人の旅行者を集客した。夏場のシーズンで順調に収益をあげ初期投資の半分近く回収したという。

 ところが、夏場のシーズンが終わるころに、突然オーナーが賃貸契約をキャンセルすると通告してきた。些細なことを指摘して契約違反を主張して地元の警察に訴えると脅して来たという。後で知ったことだが、ゲストハウス経営が儲かりそうだと考えた隣家の青年がゲストハウスを乗っ取るためにオーナーに入れ知恵したらしい。

 地元出身のオーナーは警察にも顔が利くし、コネのない中国人が争っても勝てないと判断してW氏はゲストハウス経営を断念して、ジョージアを離れたという。腹いせに新調したマットレスをナイフで使い物にならぬように切り裂いたというが。

ベトナムでのゲストハウス経営に再起をかける

ホーチミン市の安宿のキッチンテーブルでパソコンを開いてビジネスパ ートナー探しをしている中国人失業者W氏(奥側)

 ジョージア出国後タイ、カンボジア、ラオスを経てベトナムに入った。中国人旅行者が多い東南アジアでゲストハウスを運営しようと考えた。タイ、カンボジア、ラオスに比較してベトナムは中国人経営の宿泊施設があまりないので、チャンスがあると判断したという。なによりベトナムには韓国人に次いで大量の中国人観光客が押し寄せている(注:2024年にベトナムを訪問した中国人は375万人。日本人は70万人)。

 W氏はジョージアでの失敗に懲りて信頼できるベトナム人のパートナーと組んでゲストハウスを開業するべくホーチミンに長逗留していたのだ。

死んだ中国不動産市場を見限りアフリカ産木材をベトナムへ売り込む

 12月23日。ホーチミンのホステルに50歳前後の大柄でいかつい風貌の福建省出身のC氏がチェックインしてきた。彼は長年アフリカで木材を買い付け中国の建築業者に販売してきたという。特にコンゴ、ガボンでの経験が長いらしい。かなり危ない現場を経験してきたようだ。現地では自身で拳銃を常時携帯していた他に、ライフル銃を持った現地人のガードマンを数人従えていたという相当な武勇伝である。彼のブロークンイングリッシュは長年の荒っぽい商談で鍛えられた賜物のようだ。

 ところが、近年中国では不動産不況により、木材の新築需要は皆無となり、中国向け輸出商売は廃業に追い込まれたという。C氏は「共産党政府が公式発表することを額面どおり信じていたら中国では商売できないよ。まともなビジネスマンは、商売仲間の情報交換でなんとかサバイバルゲームを凌いでいる」と解説した。

 C氏は経済成長著しいベトナムの潜在需要に目を付けて、アフリカ産木材をベトナムに輸出できないか、ホーチミンに長期滞在して商機を探るという計画を語った。

お金があれば幸せなのか、自信満々な中国の若者は実家が富裕層

 12月18日。ホステルで中国人の若者Hと同室になった。近年では中国人バックパッカーは増えており、世界各地で頻繁に遭遇する。中国人バックパッカーは大半が若者である。筆者の印象では彼らは寡黙で質素であり、限られた時間の中でできるだけ広く見聞しようと、懸命に行動している。ホステルの共同キッチンでインスタントラーメンなど、簡単な中華風料理を自炊して節約している。概して勤勉で真面目な性格の若者が多い。

 ところが、Hは着ている洋服、旅行カバン、持ち物から一目で裕福な出自と思われた。フツウの中国人バックパッカーとは一線を画している。1カ月の予定でベトナム全土を周遊しているという。ホーチミンに到着して直ぐに新車のホンダ製中型バイクをレンタルしたという。バイクのレンタル料金は細かく分かれており、新車でホンダブランド中型バイクは、古いベトナム製ミニバイクの3倍以上のレンタル料金であろう。それだけでもHの懐具合が推測できる。

 筆者はHが学生であろうと推測したが25歳で無職という。よく聞くと実家の仕事を手伝っているとのこと。出身は河南省鄭州市。歴史的に中原の中心都市の一つであり、交通の要衝にあたり河南省の省都である。ちなみに人口は1300万人超の大都市だ。

 Hの実家の商売はペットショップであり、郊外にも土地を持ち犬のブリーダーも営んでいる。現在繁殖に力を入れているのはゴールデンレトリバーという。中国の富裕層の間で人気が高まっているらしい。お金も手間も掛かる大型犬を飼えるのは、余裕のある人々だけであろう。中国経済はマクロ的には不況であろうが、一部の富裕層は安泰であり富裕層相手の商売も不況知らずのようだ。


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