2026年4月22日(水)

Wedge OPINION

2026年4月22日

 衆議院選挙で大勝し発足した第2次高市早苗内閣は、国内投資促進のための「責任ある積極財政」を講じて、税率を上げずとも税収が自然増に向かう「強い経済」を構築することを訴えた。財政再建がゴールではなく、持続的な経済成長を達成することが重要である。

社会保障国民会議には高市首相(中央)も参加する(首相官邸HPより)

 これまでも歴代政権が様々な成長戦略を講じてきたが、成果は期待したほどではなかった。たとえ政府はお金を投じたとしても、市場や民間企業を直接コントロールできない。

 政府ができることは限られている。政府が市場に介入すると、むしろ市場活動を歪め弊害も生じる。

 政府がすべきことは、規制や制度を見直して、民間がより自由に活動できるように環境や基盤を整備することである。しかし、そうした改革をしようとすると、これまで既得権益を得てきた者が反対し、彼らの支援を受けてきた政治家も改革に後ろ向きとなる。高市政権は、租税特別措置を見直し財源を捻出すると言っているが、租特こそ既得権益の牙城であり、それを改革できるのか疑問だ。

 今後の経済成長に極めて重要なテーマは社会保障と税制であると、筆者は考えている。衆院選で先延ばしなっていたが、超党派の「社会保障国民会議」が、2月26日に初会合を開いた。高市首相は、初会合で「給付と負担のあり方などについて全世代を通じて納得感が得られる社会保障の構築に向けた国民的な議論を進める必要がある」(「日本経済新聞」2026年2月27日)と語った。

 この国民会議には、大臣と与野党の政策責任者で構成される親会議の他、政府と与野党の実務者で構成される実務者会議と専門家等で構成される有識者会議も並行して議論を行っている。

 これらは政府の審議会や国会の委員会でもなく、法的な根拠はない。会議資料は内閣官房から公開されているが、会議は公開されていない。政府は国民に見えるように検討すると説明しているが、実態は異なる。

 有識者会議は専ら「給付付き」に関するものである。しかし、現在の社会保険料や所得税などの問題についての分析は十分ではない。日本が直面する最大の課題は人口減少、特に働き手の減少であるが、税や社会保障などはそれに対応していない。昭和の男性片働きモデルだからだ。これを改革しない限り、日本経済の成長は期待できない。

 政治的には、消費税率の引下げを優先したいだろうが、それで国民の生活が一時的に楽になっても、政権が掲げる潜在経済成長率の引上げにはつながらないだろう。消費税を元に戻す時には負担となる。潜在成長率の底上げには投資こそ必要だ。

 そこで、本稿では、現在の税・社会保障制度が抱える基本的な問題を整理し、今後の経済成長を達成する観点から必要な一体改革を考える。


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