2026年4月9日(木)

経済の常識 VS 政策の非常識

2026年4月9日

 原油価格が上昇した時、政府はどのように対応したら良いだろうか。一つは、政府は価格を抑えない、である。原油価格の高騰は、原油が貴重であり、これを節約しなければいけないというシグナルなのだから、すべての物価は原油価格高騰の分だけ上げるというアプローチである。

(Julia Gomina/gettyimages)

 ただし、原油価格が50%上がったからといってすべての物価が50%上がるという訳ではない。ガソリンなどは25%程度上がるだろうが、ガスでは20%、電力では10%、化学では6%、鉄鋼では3%、経済全体の平均では1.7%程度だろう。原油コストの最終小売製品に占める比率から、産業連関表で計算するとこのような数字になる。

 もちろん、物価上昇率にはトレンドがあるので最終的な物価上昇率はこれにトレンド上昇率を足したものである。現状のトレンドが2%であれば、平均の物価上昇率は3.7%となる。

 また、もし何かするとしても、高い原油価格に対抗するために、新たな省エネ設備を導入し、エネルギー多消費型の生産を削減する。これらの生産転換に補助金を払う。さらに、低所得者向けに給付金を配るということも考えられる。

 第2のアプローチは、ガソリン補助金や原油関係の税の減免や備蓄原油の放出で価格を抑えたり、原油多消費型の産業に直接補助金を与えたりすることである。こちらでも、低所得者向けの給付金は考えられる。

 筆者は、第1のアプローチが正しいと考えていたのだが、実はそうではないかもしれない。その前提を考える必要があるからだ。


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