米国とイスラエルによる攻撃でイランがペルシャ湾岸地域での軍事行動を活発化させ、ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態に陥っている。湾岸諸国からの石油・天然ガス供給が途絶する恐れが高まる。
こうした中、地中海を隔て欧州に隣接する北アフリカ諸国、特にアルジェリアとリビアが注目を集めつつある。欧州にとってエネルギー供給国としての重要性を一層高めている。
この背景には、ロシアによるウクライナ侵攻から約4年が経過し、欧米諸国が進めてきたエネルギー分野での脱ロシア政策がある。ウクライナ戦争下で欧州の天然ガス調達を支えてきた米国と欧州諸国の関係においても、トランプ政権による相互関税の導入やグリーンランド領有問題をめぐって、冷え込みつつある。
こうしたエネルギー供給源の多角化は、原油輸入の9割ほどを中東に依存する日本にとっても注視すべき動きであると言える。
脱ロシア政策の最終段階
欧州諸国はウクライナ戦争下、ロシアの戦費につながる資源収入を断つため、対ロシア制裁の一環としてロシア産化石燃料の輸入削減を進めてきた。欧州連合(EU)は22年8月に石炭、同年12月に海上輸送による原油、23年2月に石油製品をそれぞれ禁輸した。一方、当時依存度が高かった天然ガスについて、EUはただちに輸入停止に踏み切ることができず、ロシア産ガスの輸入抑制に向けて域内消費量を15%削減する努力にとどまった。
その後、EUは24年6月に対ロシア制裁第14弾を採択し、初めてロシア産液化天然ガス(LNG)の輸入制限に着手した。まず、第三国への再輸出を目的とするEU域内でのロシア産LNGの積み替えを禁止した。さらに25年10月採択の対ロシア制裁第19弾では、短期契約に基づくLNG輸入を26年4月25日から、長期契約に基づく輸入を27年1月1日から禁止することとした。
そして欧州議会は25年12月、ロシア産天然ガス輸入を段階的に削減し、27年中にゼロとする計画を賛成多数で承認。同計画ではLNG輸入を26年末までに、パイプライン経由の輸入を27年9月末までに停止することが定められている。
