米国のトランプ政権が2026年1月3日、ベネズエラで軍事作戦を実施し、マドゥロ大統領を拘束した。米国がベネズエラに関与する背景には、麻薬取引の撲滅に加え、豊富な石油資源の確保という狙いもある(山本隆三「日本のメディアが報じないベネズエラの石油にトランプがこだわる大きな理由 シェール革命では補えないアメリカ人に必須の「ある物」とは?」)。
世界最大の石油埋蔵量を有するベネズエラの石油部門では、これまで中国が大きな存在感を示してきた。しかし、今後は米国が同国の石油資源に対する管理を強化していく見通しであり、それに伴う国際石油市場への影響や、ベネズエラ産原油の輸出先の変化が注目される。
石油権益を保有する中国とロシア
現在、ベネズエラの石油埋蔵量に対する権益(entitlement)を主に保有している外国企業は、主に中国とロシアの国営企業である。各社が契約に基づいて直接販売・収益化可能な石油権益を見ると、中国のシノペック・グループが最大の28億バレルを保有しており、ロシアのロスザルベジネフチが23億バレル、中国の中国石油天然気集団(CNPC)が16億バレルで続く(図1)。
なお、各社が保有する石油権益は、ベネズエラ国営石油会社(PDVSA)が保有する2000億バレル超の埋蔵量に比べれば、規模は小さい。
中国は07年、チャベス政権下でインフラ開発および石油プロジェクト向けの融資を開始した。これらの融資は石油を担保に、国営銀行を通じて実行され、15年までに累計600億ドル以上が貸し付けられたと推計される。その結果、中国はベネズエラにとって最大の債権国となった。
同時に、米国による対ベネズエラ制裁が強化される中、中国はベネズエラ産原油の最大の輸出先にもなった。CNPCや中国海洋石油(CNOOC)は、埋蔵量の大半の油田が集まるオリノコ重質原油地帯を含む主要油田で資源開発を進め、さらにベネズエラ国内の精製・石油化学施設への投資も拡大した。こうして、中国はベネズエラの石油供給網全体に深く関与するようになった。

