2026年1月12日(月)

日本人なら知っておきたい近現代史の焦点

2026年1月12日

 米政府は2026年1月3日、ベネズエラに部隊を派遣してマドゥロ大統領夫妻を拘束し、ニューヨークに連行した。他国の指導者を強制的に連れ去ることは、前例がないわけではないが異例のことであり、米国のメディアも長い時間を割いてトップで報道した。

マドゥロ大統領拘束への作戦見守るトランプ大統領(右)。その胸中は(提供:Molly Riley/The White House/AP/アフロ)

 作戦の成り行きによっては米軍がベネズエラ軍と大規模な交戦状態に陥る可能性もあった。トランプ大統領はそのような危険な手段を用いて何を得ようとしたのだろうか。

一粒で何度もおいしいベネズエラ攻撃

 一番の狙いは中間選挙に向けて支持率を上げることである。昨今、大統領支持率は低迷しており、それを大統領本人が気にしていることは政権内部から漏れ伝えられていた。今年11月に迫る中間選挙で与党共和党が過半数割れということになれば、2期目であるトランプ政権のレイムダック化が一気に進む可能性もある。

 議席の3分の1のみの改選である上院に比べて全員が改選となる下院は、民主党が大勝する可能性も大いにある。ただでさえ中間選挙では与党が不利になる傾向が強いのは周知のことであり、そのため何か手を打って大統領自身の人気で引っ張ることで、共和党の勝利を目指さなくてはならない。

 何もしないで穏当に過ごすという選択肢はないのである。そして、年頭第一弾としてトランプが選択したのがベネズエラを急襲してのマドゥロ大統領の拘束であった。

 数ある選択肢の中で、なぜベネズエラの大統領拉致作戦が一番よいターゲットに見えたのだろうか。外国との紛争によって大統領の支持率が上昇するというのは歴史が示してきたことである。それに加えて、ベネズエラは介入を正当化するための様々な都合のよい要素を兼ね備えていた。

 マドゥロ大統領は、反体制派を弾圧し拷問を行うことで、国際社会から長らく批判されてきており、自身が選出された大統領選挙に不正があったとも言われている独裁者である。その排除によって快哉を叫ぶ人は少なくない。また、マドゥロ政権を米国と敵対する中国やキューバが支援しているということもあった。

 ベネズエラは国内の混乱のせいで多くの国民が海外に逃れており、その一部が米国への不法移民となって問題化していた。その解決が見込めるということであれば、移民問題を重視する米国民の支持は見込める。


新着記事

»もっと見る