2026年1月12日(月)

日本人なら知っておきたい近現代史の焦点

2026年1月12日

 トランプ自身も、今回の介入がMAGA派に問題視されるとは見ていないようである。1月5日のNBCニュースのインタビューでは、「MAGAは自分であって、自分のやることはすべて愛してくれる」と発言している。

 1月6日の共和党下院議員との会合で、トランプは「中間選挙に勝たなければならない。そうでないと彼ら[民主党議員]は私を弾劾する理由を見つけるだろう」と述べた。

 下院で共和党が過半数割れすると、大統領の弾劾訴追の危険が一気に高まる。起訴に相当する弾劾訴追は下院によってなされるからである。

 本来であれば、「米国をよりよくするための政策を実施するために中間選挙に勝たなければならない」といった建前を言うべきところをト書きの部分を声に出したような形であった。これはトランプ特有のスタイルで、これまであまりに長くの間、政治家たちが選挙前には甘美な建前の旗を振りながらも当選後は私利私欲に満ちた本音を見せつけてきた結果、有権者はうんざりしており、実は最初から本音を見せた方が支持率は上がると感じ取った結果ではないだろうか。

あり得る次の一手

 ベネズエラに関しては今のところ、小康状態といったところである。作戦実施後、トランプの支持率は小幅に上昇した。今回の作戦への世論はいつものように党派によって分かれており、全体として大きく反対が上回る事態にはなっていない。

 ただ、物価は下がる気配を見せていない。トランプが「大きく美しい法案」と呼んだ一連の大型減税法案の通過によって、26年年頭からオバマケアへの補助金が廃止され、低所得者を中心に健康保険料が大幅に上昇した。保険料が6倍以上になった例や年収の4分の1にまで膨れ上がった例が報告されている。

 オバマケアには民主共和両党の支持者が加入しており、MAGA派の中にも、保険料の増大に事態の深刻さを感じ取った人も多いはずである。何しろこの補助金廃止によって影響を受けるのは2400万人に及ぶ。

 全米で多くのトランプ支持者が、日々の物価高に苦しみながら、大統領が「インフレは止まった」「物価は劇的に下がっている」と繰り返し発言するのを聞いている。このままでは、国民の不満は高まりこそすれ収まって大統領支持率が希望通り上がるとは考えにくい。

 トランプは、ベネズエラ介入後もキューバ、コロンビア、メキシコ、グリーンランドなどに言及している。ベネズエラでの作戦では思った効果が得られないとなると、今回の作戦がほんの些細な出来事に見えるほどの我々が想像もつかない決断をトランプが下す日も近いかもしれない。

Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る