2026年3月13日(金)

未来を拓く貧困対策

2026年3月13日

 2026年3月、渋沢栄一ゆかりの地・埼玉県深谷市で、全国初となる「社会保障ゲーム」のメディア向け公開授業が行われた。社会保障と聞くと、多くの人は「負担」や「高齢者のためのもの」といったイメージを抱きがちだ。

子どもたちはゲームを通じて社会保障の本質を学んだ(筆者撮影、以下同)

 しかし、この授業で向き合った中学生たちが学んだのは、社会保障とは人生のピンチを乗り越えるための「権利」であり、誰でも使える制度であるという視点である。病気や失業といった不測の事態に直面した場面をゲームで疑似体験することで、生徒たちの認識は大きく変化した。制度利用への心理的抵抗は薄れ、社会保障を「自信を奪うもの」ではなく「未来を支える仕組み」と捉える姿勢が明確になった。

 少子高齢化が進む日本において、次世代が社会保障の意味を理解し、自らの生活に結びつけて考える力を育む「社会保障教育」が、今、深谷から動き出している。

深谷の地で産声を上げた全国初の『社会保障ゲーム』公開授業

 26年3月2日、埼玉県深谷市。日本近代資本主義の父であり、同時に東京養育院の院長として50年以上にわたり社会福祉の礎を築いた渋沢栄一ゆかりの地で、先駆的な試みが行われた。深谷市立明戸中学校において実施された、全国初となる「社会保障ゲーム」のメディア向け公開授業である。このプロジェクトは、深谷市教育委員会、特定非営利活動法人ソーシャル・チェンジ・エージェンシー(以下、SCA)、そして筆者が所属する明治大学による連携によって実現した。

 「社会保障ゲーム」とは、中高生を対象に、架空の登場人物が直面する病気、失業、事故といった人生の「ピンチ」に対し、どのような「制度(アイテム)」が利用できるかをゲーミフィケーションの手法で学ぶ体験型学習である。25年6月の正式版発表以降、すでに全国18校、1200人を超える生徒が体験しているが、広く報道機関に開放されたのは今回が初めてとなる。


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