2026年3月16日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年3月16日

 Googleの元最高経営責任者(CEO)のエリック・シュミット氏がフィナンシャル・タイムズ紙に寄稿し、ウクライナ戦争においてドローンが如何に重要な役割を果たしているかを紹介した上で、「未来の戦争は無人兵器によって特徴づけられる新たな戦争となるが、西側諸国はこれに対する備えができていない」と警鐘を鳴らしている。要旨は次の通り。

ウクライナで飛行前にP1-Sun FPV迎撃ドローンを点検する従業員(ロイター/アフロ)

 ウクライナに遍在するドローンによる監視体制は、兵士であれ車両であれ、ロシアの進撃を最小限にとどめている。2025年にロシアが制圧したウクライナ領土は1%未満、進撃を試みる者がドローンに命中する確率は約3分の1だ。

 しかし、それでもロシア軍は進撃を続け、ウクライナの兵力、資源、そして戦意を圧迫している。ウクライナ当局によれば、ロシア軍は毎月3万人から3万5000人が死傷している。

 ロシアも新たな戦争の時代に適応しつつある。同国の精鋭ドローン部隊「ルビコン」が開発した戦術が前線にも浸透しつつある。

 特に、妨害電波の影響を受けない光ファイバードローンは、森林や悪天候下でも塹壕やトンネル内の兵士を攻撃できる。ロシアははるかに高速で迎撃が困難なジェット推進式シャヘド・ドローンの開発を開始しており、26年にはシャヘドの運用を1日1000機以上に増やし、ウクライナを屈服させる計画だ。

 これに対抗するため、ウクライナは情報収集・監視・偵察(ISR)ドローン、拡張レーダーネットワーク、そして戦場の出来事や迫り来る脅威に関するデータを収集・統合・分析するAI対応システムなど、最先端技術を維持するために必要なシステムを構築している。

 このインフラ整備により、ウクライナは次世代の戦争への準備が整った。遠隔操作され、AIによる標的の特定等による自動化が進む無人地帯が広がっている。人員が後方で安全に活動できるよう作戦を自動化することは、ウクライナにとって喫緊の課題となっており、26年にはドローン操縦士を前線からさらに遠ざける計画だ。

 将来の戦争は無人兵器によって特徴づけられるだろう。ブロック不可能な衛星通信、安価な周波数帯ネットワーク、そして正確なGPS標的設定を組み合わせることで、ドローン同士の戦闘が唯一の戦い方となる。

 ドローンはデータをリアルタイムで共有するため、複数の安価なプラットフォームを単一の兵器として運用できる。戦闘機のように空対空ミサイルを搭載し、攻撃者を撃破する。しかもより安価で、より豊富に配備できる。

 ドローン戦の勝者は、低速ながらもより重いペイロードを運ぶことができる無人地上車両および無人海上航行体で前進できるようになる。これら空、陸、海の編隊は初期の砲火を吸収し、一層ロボット化が進むキルゾーンを拡大する。最初の機械の波が進撃した後にのみ、人間の兵士が続く。


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