2026年3月12日(木)

World Energy Watch

2026年3月12日

 リビアでは、14年夏に紛争が勃発して以降、国内の政治勢力や軍事組織が東西に分かれて対立している。それにもかかわらず、石油の生産・開発は継続的に進められている。

 リビアの原油生産量は25年に約137万bpdに達し、過去10年で最高水準を記録した。26年1月には、リビア国営石油会社がフランスのトタルエナジーズ、米国のコノコフィリップスと、ワハ鉱区の生産拡大に向けた25年間の権益延長契約を締結した。

 さらに、26年2月には、17年ぶりとなる石油・ガス権益入札の落札者が発表された。探査権を獲得したのは、米大手シェブロンのほか、イタリアのエニ、カタールエナジー、ハンガリーのMOL、ナイジェリアのアイテオ、スペインのレプソル、トルコのTPOCである。リビア石油・ガス省は、26年末までに原油生産量を160万bpdまで引き上げる目標を掲げている。

ホルムズ海峡迂回の調達先を確保する重要性

 フランスをはじめとする欧州諸国は、70年代以降、中東紛争が繰り返し発生したことを受け、エネルギー供給途絶への危機感を強め、ホルムズ海峡を迂回し得る調達先の多角化を進めてきた。こうした過程の中で、欧州とロシアのエネルギー関係は、両地域間のガスパイプライン建設が本格化した80年代以降、着実に深化した。欧州各国は、自国のエネルギー価格を抑制する観点から、比較的安価なロシア産化石燃料の輸入を拡大してきた。

 もちろん、ロシアとのエネルギー協力の枠組みは、ウクライナ戦争の勃発によって崩れつつある。ただ、脱ロシア政策を進めながらも、エネルギー調達をペルシャ湾岸地域に過度に依存しない構造を維持してきたため、現在進行中のホルムズ海峡の通航不能による打撃は、最小限にとどまっていると評価できる。

 一方、日本は欧米諸国と足並みを揃えて22 年にロシア産原油の輸入を控えた結果、ほぼ全ての原油を湾岸産油国からの輸入に頼ってきた。原油の中東依存度は25年に約94%に達し、ホルムズ海峡を経由した原油輸入量は9割にのぼる。日本は短期的には石油備蓄の放出などで対応できたとしても、中長期的には原油価格の高騰が円安基調と相まって、国内の燃料価格を大幅に押し上げる可能性が高い。

 ホルムズ海峡の事実上の封鎖は、日本にとって原油調達先の多角化を本格的に検討する契機になるべきである。

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