世界最大の携帯技術見本市「MWC(モバイル・ワールド・コングレス)2026」が3月初め、スペインのバルセロナで開かれた。米国とイスラエルによるイラン攻撃と重なり、中東地域の一部企業が出展を断念するなどトラブルに見舞われたものの、昨年と同様、10万人を超す来場者が詰めかけた。
注目されたのは衛星通信や人工知能(AI)、第6世代通信規格(6G)などの技術で、初日の基調講演には衛星通信サービスの「Starlink(スターリンク)」を展開する米宇宙開発ベンチャー、スペースXのグウィン・ショットウェル社長が登壇した。日本からはNTTが7年ぶりにグループ共同で出展し、島田明社長がNTTのトップとして初めて基調講演した。
空が見えれば海でも山の上でも通信が可能に
「我々は2020年から衛星通信サービスに参入し、24年からは衛星とスマートフォンを直接つなぐ『Starlink Mobile(スターリンク・モバイル)』を展開し、現在約1600万人が利用している。今年末には約2500万人までユーザーを増やす計画だ」。ステージに立ったスペースXのショットウェル社長は同社が手掛ける最新の衛星通信サービスについてこう語り、「技術的にはすでに世界32カ国で17憶人が使えるようになっている」と成果を訴えた。
スターリンク・モバイルは日本ではKDDIが「au Starlink Direct(エーユー・スターリンク・ダイレクト)」の名前でサービスを展開しており、地上340キロメートル(km)という低軌道衛星を使うことで、空が見えれば海や山の上でも通信ができるというサービスだ。スペースXはウクライナの通信事業者最大手、Kyivstar(キーウスター)とも提携して「ウクライナ国民の300万人の通信を担っている」と述べ、新サービスが重要な社会インフラになっていることをショットウェル社長は強調した。
日本からは楽天グループの三木谷浩史会長兼社長も基調講演し、グループ会社の楽天シンフォニーを通じ、携帯通信システムの仮想化技術を海外展開していることを訴えた。また米通信衛星ベンチャーのASTスペースモバイルと組んで、今年後半にもスマートフォンに直接つながる衛星通信サービスを始めると表明した。
ASTの通信衛星はテニスコート大の巨大なアンテナを使い、ビデオ通話や動画視聴などもできるのが特長で、メッセージ送受信(SMS)から始めたスターリンクとの違いを強調した。楽天モバイルは日本では通信大手3社に比べ基地局の整備が十分でないが、「ASTを使えば、一気に通信エリアを100%にできる」と三木谷氏は訴えた。
