スマートフォン向けのエージェントAIに注目
AIに関する展示では、人間による作業をAIが肩代わりする「AIエージェント」の通信分野への活用にも関心が集まった。NTTドコモはMWCの開幕に合わせ、スマートフォン向けのAIエージェント「SyncMe(シンクミー)」を発表した。ドコモの共通ID「dアカウント」の情報をもとに利用者の趣味や嗜好、価値観、感性などを分析し、AIが先回りして欲しい商品やサービスなどを提案してくれるというサービスだ。
動物のワラビーを模したかわいらしいキャラクターの「ワラビィ」が案内役で、利用者との親近感を高めようと、画面内のキャラクターだけでなく、ワラビィの形をした対話型の音声スピーカーなども開発した。ドコモは以前から「iコンシェル」や「my daiz(マイデイズ)」といった携帯端末向けのコンシェルサービスを展開してきたが、さらに生成AIと個人IDの情報が加わったことで、よりきめ細かなサービスが可能になるという。
携帯端末向けのAIエージェント機能やスマートフォンの高機能化については端末メーカー各社が力を注いでいる。韓国のサムスン電子は米グーグルの生成AI「Gemini(ジェミニ)」を組み込んでAI機能を高めた新しい「Galaxy S26」シリーズを発表。外から画面をのぞき込まれないように視野角を一瞬で切り替えられるプライバシー・ディスプレー機能なども搭載した。
中国の大手通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ)の傍系企業である端末メーカー、Honor(オナー)は、スマホのカメラが外側に飛び出し、小型モーター付きのジンバル(3軸安定装置)によって被写体を追尾したり、音楽に合わせて踊ったりする「Robot Phone(ロボットフォン)」のコンセプトモデルを発表し、会場で大きな話題を呼んだ。中国ドローンメーカーのDJIが開発したジンバル付きの超小型カメラをスマートフォンに組み込んだような形だ。
「nubia(ヌビア)」などのブランドで携帯端末を展開する中興通訊(ZTE)も、複数のアプリをまたいだ一連の操作を音声で一度に指示できるオートパイロット機能を搭載した製品などを発表した。
IWONが第2フェーズを実現
今年のMWCでもうひとつ注目されたのがNTTグループによる7年ぶりの共同出展と島田明NTT社長による基調講演だ。MWCにはこれまでNTTドコモが中心となって出展してきており、NTTデータグループなどは別にブースを構えていた。
今回はNTTの企業ロゴである「ダイナミックループ」を大きな天井のデザインにあしらい、ベースとなるブースの色もドコモの赤ではなく、NTTデータのブルーを基調とした展示に改めた。NTTが開発を進めている光技術や光量子コンピューティング技術などを展示し、多くの来場者が集まっていた。
島田社長による基調講演は「Photonics Unlocks an Intelligent, Power-Optimized Future(光技術が拓く知的で電力が最適化された未来)」というテーマで、光電融合デバイスの商用化や光量子コンピューターの実用化に向けたNTTの技術戦略を披露。米通信半導体大手、ブロードコムや台湾の通信機器メーカー、アクトン・テクノロジーと組んで、サーバー内の回路基板まで光通信で結ぶIOWNの第2フェーズを実現したと説明した。島田氏は「2032年には電力消費効率を現在の100倍に高められる」と訴え、聴衆の関心を呼んだ。
次世代光通信技術「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」については、NTTなど世界の通信会社や通信機器メーカーなど180社以上が名を連ねる国際推進組織「IOWN Global Forum(アイオン・グローバル・フォーラム)」がブースを別に構えた。会場となったバルセロナと約500km離れた首都マドリッドなどをIOWNの超高速ネットワークで結ぶ計画案などを紹介した。
