IOWNグローバルフォーラムは通信技術の国際標準化組織「欧州電気通信標準化機構(ETSI)」と新たに提携し、ヤン・エルスバーガー事務局長とフォーラム会長の川添雄彦NTTチーフエグゼクティブフェローによる基本合意書(MOU)の調印式もブースで行われた。川添氏は「今年2月には米国を中心とするデータセンター技術の標準化組織、オープン・コンピュ―ト・プロジェクト(OCP)ともMOUを交わしており、フォーラム設立から7年目を迎え、IOWNの実装がいよいよ具体的に動き出した」と語る。
MWCの会場では3時間以上にわたるIOWNのセミナーも開催し、金融データセンターの分散化やGPUデータセンターの共同利用、放送コンテンツの遠隔制作といった3つのPOC(概念実証)に加え、化学工場の遠隔モニタリングや倉庫システムの高機能化など新たな活用方法も見えてきたことを明らかにした。
移動基地局など軍事向け通信技術にも関心
ロシアによるウクライナ侵攻からすでに4年が経過したが、戦場におけるスターリンクの活用に象徴されるように、軍事向けの通信技術の展示もMWCでは増えている。スウェーデンの大手通信機器メーカー、エリクソンは装甲車に高いアンテナを搭載した移動型の無線基地局を展示し、ノキアは人間が背中に背負う小型の移動基地局などを紹介し、来場者の興味を誘った。
自動運転技術は戦地の過酷な状態で自動車を長時間走らせる軍事技術として米国防総省が開発したのが最初だが、遠隔から人間が運転操作する「テレドライビング(遠隔運転)」も注目されている。エストニアの遠隔運転ベンチャー、Elmo Remote(エルモリモート)がその代表的企業で、3000km離れた場所からでも時速約160kmの遠隔運転を可能にしている。
スターリンクの衛星通信技術を使えば、戦場でも利用が可能とのことで、実際にウクライナでの戦争にも投入されたという。ノキアが技術協力しており、GSMAの主催者ブースに展示された同社の遠隔運転席には絶えず人が集まっていた。
日本の通信技術の海外展開へさらなるアピールを
ドイツのベルリンで毎年9月に開かれる欧州家電見本市の「IFA」や米ラスベガスで1月に開かれるデジタル技術見本市の「CES」では最近、ソニーやホンダといった日本を代表する有力ブランドの撤退が相次いでいる。MWCではNTTや楽天のほかにもKDDIや富士通など日本の大手通信関連企業が大きなブースを構えており、日本の存在感をアピールしていたのは好ましかった。
IOWNや光量子コンピューター、携帯通信システムの仮想化技術などは日本が海外に展開できる数少ない戦略的技術分野だけに、世界の通信事業関係者が集まるMWCの場では引き続き日本の技術力を誇示していってほしいと思った。
