次世代光通信技術を推進する国際組織「IOWN Global Forum」の中間メンバー会議が10月初め、米南部のダラスで開かれた。今回の会議では米大手通信会社、AT&Tの幹部がゲストスピーカーとして講演するなど米国のIT業界がIOWNに強い関心を示したのが大きな特徴だった(「IOWN構想」に動き出したアメリカのIT業界、日本の技術からグローバルに、実用化への取り組みも続々と)。
「米国のIT業界と歩調を合わせられた」「データセンターに加え、放送番組のリモート制作といったメディア系やヘルスケア、金融などあらゆる分野に利用できる」「まずは新しい技術によるエコシステムやバリューチェーンを作るべき」――。フォーラムの最新の取り組みについて、キーマン3人に現地でインタビューした。
NTTチーフエグゼクティブフェロー 川添雄彦氏
2020年1月のIOWNグローバルフォーラムの発足時からNTTの技術担当副社長としてフォーラムの会長を務め、今年6月に現職に移ってからもIOWNのメンバー約170社・団体を率いている。ダラス会議でもオープニングセッションで開会の挨拶を述べた。経済同友会先端科学技術戦略委員会の委員長も務めている。
――IOWNグローバルフォーラムを米ダラスで開いた理由は何ですか。
「ダラスには米大手通信会社、AT&Tの本社があり、ほかにも様々な通信会社や通信機器メーカーの拠点が集まっています。フォーラムを起ち上げたのは2020年ですが、実はAT&Tにはその前の19年からラブコールを送っていました。まだフォーラムのメンバーにはなっていませんが、今回、キーノートを受けてもらったことで今後に向けての協力関係を築けたと思っています」
――キーノートにはデータセンターの技術標準化組織の幹部も登壇しました。
「OCP(Open Compute Project)はもともと米メタ(旧フェイスブック)を中心にデータセンターなどの技術の標準化を目指して発足した組織です。今後はGPU(画像処理半導体)の共同利用などデータセンター間の接続が求められており、OCPのオープンな標準化活動はIOWNにとっても重要だと考えています。グーグルやマイクロソフトなどもメンバーとなっており、米国のIT業界と歩調を合わせられたことは大きな成果だと思います」
――大阪・関西万博ではIOWNの技術が様々なところで活用されました。
「NTTパビリオンで紹介された女性歌手グループ、Perfumeのパフォーマンスに利用するなど、万博はIOWNの認知度向上に大きく役立ちました。NHKもIOWNで現地とつないだ番組を放送しました。
先日、女性歌手のMISIAさんのNHKのラジオ番組に出演させていただきましたが、彼女もIOWNに大きな関心を寄せて下さっています。AIが何でもできる時代がやってきたことで、人間にしかできないことが求められているからだと思います」
