2025年12月15日(月)

Wedge REPORT

2025年10月24日

米アクセンチュアCSO ジェファーソン・ワング氏

米アクセンチュアCSO ジェファーソン・ワング氏
約80万人の社員を抱える米IT大手、アクセンチュアでクラウドファースト担当のチーフ・ストラテジー・オフィサー(CSO)を務める。クラウドやネットワーク、データ、AI、セキュリティなど幅広い分野を管掌し、IOWNグローバルフォーラムではボードメンバーを務める。スペインで開かれる「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」などでも頻繁に講演している。

――アクセンチュアがIOWNグローバルフォーラムに加わった理由は何ですか。

「アクセンチュアは常に新しい技術を取り入れており、クラウドコンピューティングに多額の投資をしてきました。顧客企業のデジタルトランスフォーメーションを促すには必須だからです。生成AIが登場してからはAIにも莫大な投資をしています。

 今後は大量のデータを扱うことになりますが、ボトルネックが生じないようにするにはデータセンターの遠隔運用などが必要です。その意味でIOWNは重要な技術と考えました」

――フォーラムを米ダラスで開いたことをどう評価しますか。

「光ファイバー網の活用は米国よりも西欧やアジアの方が進んでいます。米国に比べ日本や韓国は国土が小さいため、ファイバーを敷設しやすいからです。携帯通信網が発達しても、バックホール(中継網)には光通信網は重要です。

 ダラスには大手通信会社のAT&T以外にも、ノキアやエリクソン、富士通などの有力通信機器メーカーの拠点が集まっています。IOWNを米国に広めるにはまずIOWNの認知度向上が重要なので、ダラスで会議を開いたことは賢明な判断だといえます」

――米国ではブロードコムやNVIDIAも光電融合デバイスを発表しました。

「光技術を広めるには競争はよいことだと思っています。NVIDIAはGPU(画像処理半導体)の分野で非常に強いですが、生成AI向けの半導体開発はグーグルやアマゾン・ドット・コムなども取り組んでおり、常にライバルの存在は重要です。IOWNグローバルフォーラムにとっても、新たなプレーヤーの登場は光技術に対する人々の認知度を高めることにつながると思います」

――アクセンチュアにとってIOWNの今後の課題は何だと思いますか。

「まずは新しい技術によるエコシステムやバリューチェーンを作っていくことです。フォーラムではテレビ番組のリモート制作技術の検証が進んでいますが、この技術を使えば大きな中継車をスポーツ競技場などに持ち込まなくても、映像素材をIOWNで放送局に送り、局側で編集できるようになります。これは大きな変化です。

 金融サービスも大きく変わるでしょう。アクセンチュアとしてはIOWNでどんな新しいバリューチェーンを創造できるか注視して行きたいと思っています」

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