2026年1月29日(木)

Wedge REPORT

2026年1月29日

 日本の観光は一つの到達点を迎えた。訪日外国人客数は2025年に約4270万人と、統計開始以来、初めて4000万人を突破し、消費額も9兆5000億円と過去最高を記録した。量的拡大という点では、日本の観光政策は明確な成果を上げたといえる。

(krblokhin/gettyimages)

 その中で、25年12月の数字は極めて興味深い。金子恭之国土交通相によれば、中国からの訪日客は約33万人と、前年同月比で約45%減少したにも関わらず、欧米豪など他地域からの旅行者がそれを補い同月の訪日客数は約360万人と、12月として過去最高を更新した。

 この事実は、日本観光がすでに「単一市場依存」から一定程度脱却しつつあることを示すと同時に、より本質的な問いを私たちに突きつけている。それは、「何人来たか」ではなく、「観光が地域にどのような価値をもたらしたのか」である。

一人当たりの価値という盲点

 政府は現在、インバウンド6000万人、観光収入15兆円という目標を掲げている。しかし、この目標設定は本当に適切なのかを再度吟味する必要はないだろうか?

 比較対象としてよく引き合いに出される米国では、年間約7000万人の訪問客で、観光収入は約25兆円規模に達している。為替条件や物価水準の違いはあるにせよ、日本の6000万人で15兆円という目標は、一人当たり消費額の低さを前提にした設計と言える。昨今の内外の状況を勘案すると、5000万人で15兆円、あるいは6000万人で20兆円超のような数値目標の方が適切だろう。

 今後重要なのは「人数」ではなく、「一人当たりがもたらす価値」である。観光はもはや「量の産業」ではなく、「価値の産業」へと転換する段階に来ている。


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