2025年11月14日(金)

Wedge REPORT

2025年10月17日

 次世代光通信技術を推進する国際組織「IOWN Global Forum」の中間メンバー会議が10月初め、米国で開かれた。毎年春に開かれる年次総会に向けた中間とりまとめを行う会議で、今回は米通信大手、AT&Tのお膝元である南部のダラスが会場となった。

フォーラム会場では様々な機器も展示された(筆者撮影、以下同)

 オープニングセッションにはAT&T研究所の幹部や米メタ(旧フェイスブック)などが設立した国際技術標準化組織、OCP(Open Compute Project)の責任者が講演者として登壇。IOWNグローバルフォーラムの活動に対し米IT業界が強い関心を示し始めたことを印象づけた。

光接続の国際標準化組織が関心

 「生成AI(人工知能)などで大量の情報通信リソースを必要とする今、AT&Tはオープンな光通信技術に力を入れていきたい。その意味ではIOWNグローバルフォーラムは重要な技術パートナーになるに違いない」。開口一番、こう語ったのはAT&T研究所でネットワーク基盤技術を担うジョン・ギボンズ副社長補佐だ。

 AT&Tはベライゾンと並び、米国の通信市場を二分する巨大通信会社だが、生成AI向けのデータセンター需要などをにらみ、通信ネットワークの光化を急いでいる。2015年には「Open ROADM MSA」という光接続のための標準化組織を起ち上げ、複数のベンダー間でオープンな光接続を実現しようとしている。「ROADM(ローダム)」は光通信容量を需要に応じ遠隔から機動的に割り当てられる光伝送装置で、「MSA(Multi-Source Agreement)」は「業界標準」を表す。

オープニングで講演する米テキサス大学ダラス校のフマガリ教授

 オープニングセッションにはテキサス大学ダラス校でOpen ROADMを研究するアンドレア・フマガリ教授も登壇し、「IOWNが目指すオープンなAPN(All-Photonics Network)とOpen ROADMとの親和性は極めて高い」と述べた。同校はAT&Tの光通信技術の開発を後押ししており、これまでノキアやエリクソンなど北欧の通信機器メーカーと日本や台湾などアジアのIT企業が中心だったIOWN構想に米国の通信業界が新たな仲間として名乗りを挙げたことになる。

 IOWNグローバルフォーラムはもともとNTT、ソニーグループ、米インテルの3社で20年1月にスタートした国際組織だが、現在は世界の通信会社や通信機器メーカー、それにユーザー企業など約170社・団体がメンバーとして加わっている。米国ではこれまでも作業部会などが開かれてきたが、今回のダラス会議には世界の約60社・団体から約250人が一堂に会し、米国におけるフォーラムの存在感をアピールした。


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