2024年12月2日(月)

勝負の分かれ目

2024年7月12日

 都心の巨大なレガシーがついに民営化稼働へ舵を切る――。東京オリンピック(五輪)・パラリンピックのメイン会場だった国立競技場(東京都新宿区)について、独立行政法人「日本スポーツ振興センター(JSC)」が、2025年度から始める運営事業の優先交渉権者に、NTTドコモを代表とするコンソーシアム(他に日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)、前田建設工業、SMFLみらいパートナーズ)を選定したことが明らかとなった。

民営化により、東京五輪の〝レガシー〟はさらなる魅力を生むことができるか(ebico/gettyimages)

 運営期間は30年間で、ドコモなどは国に運営権の対価として528億円を支払う。契約は9月ごろに正式に締結し、来年4月にJSCから業務を引き継ぐ予定。

 利便性に恵まれながら、イベント開催には遮音性が課題とされる屋外スタジアムだが、スタジアムのネーミングライツや、シーズン毎に芝を全面的に張り替えることで音楽コンサートなどの開催期間を大幅に確保することなどを念頭に、収益を高める狙いがある。

 NTTドコモの担当者は、「稼働率アップ」「グローバルな国際大会の誘致」「ホスピタリティーの充実」という3つのキーワードを挙げる。

音楽コンサート開催へ越える2つのハードル

 「都心の恵まれた立地で、6万人収容のスタジアムは海外を見比べてもほぼない。高いポテンシャルを、われわれが運営することでより価値を高めていきたい」

 NTTドコモのエンターテイメントプラットフォーム部でベニュービジネスを担当する宇田鈴花さんは、新宿、渋谷にも徒歩30分圏内の立地は民営事業化の大きな利点だと力を込める。

 スタジアムの難点は屋根がなく、全天候型に対応していないことだ。ドコモなどのコンソーシアムが利便性を高めるために重要視するのが音楽コンサートの開催頻度だ。これまで年1~2回の開催に留まっていた音楽コンサートなどのイベントについては、民営化後は年20回程度まで増やす計画だ。

 実現に向けてクリアすべきハードルは主に2つある。


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