2024年12月21日(土)

勝負の分かれ目

2024年7月12日

 「ホスピタリティーの充実」では、競技場内の大規模改修に着手し、VIPルームを大幅に増やす。また、選手たちが入退場するシーンを間近で見ることができる特別席をグラウンドレベルに新設する。高価格帯のVIPルームは海外のスタジアムなどでも商談などで活用できることから法人などに人気が高く、運営側も高い収益を得られるメリットがある。

 田中氏は「まずは先行投資をした上で、30年をトータルで考えてしっかりと収益を挙げていける運営を確立させていきたい」と述べる。こうした計画の実現によって、国も民営化後も年間10億円を補填する予定だったが、回避できる見込みとなった。こうした点が評価され、JSCの芦立訓理事長も「屋外スタジアム・ビジネスの新たな可能性を切り拓くような意欲的事業内容」とコメントした。

国立とエンタメ、街の活性化の相乗効果は起きるか?

 ドコモが施設運営ビジネスを拡大する背景には、自社が手がけるエンターテインメント領域を広げる狙いがある。

 田中氏は「携帯電話事業のスマートフォンが軸にはあるが、スタジアムやアリーナのライブコンテンツを充実させ、レミノでの映像配信につなげるなど、エンタメ領域には、スマートフォンに閉ざしたものではない可能性が広がっており、そこにビジネスチャンスがあるとみている」と話す。

 国立競技場がある神宮外苑周辺は、老朽化した神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えてそれぞれ建て替え、超高層ビルが新設されるなどの再開発が計画される。田中氏は「エリア全体の連携によって、人を集め、街の価値も高めていきたい」と、国立競技場との相乗効果も期待している。

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