2024年12月17日(火)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2024年12月17日

 2024年秋の中国株式市場は、2000年以降に生まれた若者にとって、初めて参入できる“爆上げ相場”になるのではないか。この金儲けのチャンスを見逃してはならない――。

 日本ではあまり多くは報じられていなかったが、中国マーケットはこの秋、熱い鉄火場を迎えていた。

中国国内では、株価の高騰が注目されている( VCG /gettyimages)

 中国株は過去2回、急騰を記録している。1回目は07年10月をピークとするもの。1500ポイント台前後だった上海総合指数は06年夏から上昇し、約6400ポイントにまでかけあがった。その後、リーマンショックもあり、1年後には2000ポイントにまで急落している。

 2回目は15年6月をピークとするもの。2000ポイントから約4600ポイントへと駆け上がった。この時も1年も持たずに下がり、以降10年近くにわたり3000ポイント前後で推移してきた。

 こうした値動きは米国株や日本株の上昇とはちょっと次元が違う。経済を反映しての株高というよりもまさにバブルだ。短期間で上昇しその後弾ける。逃げ遅れれば火傷するとはいえ、比較的容易に参入できる金儲けのチャンスだ。

消費者金融で金を借りて株を買った若者

 そして今秋、3度目の急騰が来たのではとの騒ぎになった。9月中旬から株価上昇が始まり、10月上旬には約3500ポイントにまで上昇。3週間ほどで約2割上昇したことになる。

 過去の急騰ではピークまでに指数が2倍、3倍と膨れあがったことを考えればまだまだ序盤、まだ間に合うと、突然の株式投資ブームが到来した。中国では10月1日から7日は国慶節(建国記念日)の休暇だが、証券会社では休暇返上で新規口座開設などの対応に追われたという。

 香港メディア・鳳凰網の報道によると、新規口座開設者のうち約30%が「95後」(1995年以降の生まれ)、25%弱が「00後」(2000年代以降の生まれ)という若者たちだった。1回目、2回目の“爆上げ相場”時点ではまだ株を買える年齢ではなかったため、初めてのチャンスとなる。かくして「消費者金融で金を借りて株を買った若者が出現」「袈裟を着た僧侶まで証券会社の窓口に並んでいた」という狂騒ぶりを伝えるニュースが飛び交った。

 この数年、中国経済はネガティブなニュースが続いている。21年から始まった不動産市場の低迷、22年にはコロナにより上海市など各地でロックダウンが相次ぎ、23年からは消費低迷が表面化した。一般市民にも企業にも悲観ムードが蔓延。リスクある投資はひかえて安全資産を保有するようになっていた。

 そうした中、突如として熱狂的な株式ブームが起きたのだが、極端な悲観から猛烈な熱狂への振れ幅の大きさには改めて驚かされる。


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