中国共産党の重要会議「三中全会」(中国共産党第20期中央委員会第三回全体会議)が7月15日から18日にかけて開催された。中国では不動産価格下落や消費低迷、IT企業規制やサイバーセキュリティ審査および学習塾規制など政府の規制による民間企業の萎縮、米中対立の激化などがあいまって、将来への悲観ムードが高まるばかり。この空気を塗り替える千載一遇のチャンスだったはずだが、空振りに終わってしまった。
22日には三中全会で可決された改革プラン「改革のさらなる全面深化と中国式現代化の推進に関する決定」の全文が公表された。約300項目という膨大な改革案がならんだが、ソーシャルメディアで話題になったものといえば「定年延長」ぐらい。株価にも影響はなかった。経済の専門家の反応はまちまちだが、少なくとも”大逆転の切り札“ではなかった点では意見が一致しているのではないか。
なぜ失望が広がったのかを考えていきたいが、その前にまず、なぜ三中全会が期待されていたのかという前提を抑えておきたい。
2013年の興奮
中国共産党はピラミッド型の組織構造を持つ。最上位の意志決定機関である中央政治局常務委員は7人、およそ週一ペースで会合を開催しているとみられる。
その下の中央政治局委員は24人(常務委員含む)で構成され、ほぼ月一ペースで会議を行っている。そしてその下に205人の中央委員、167人の中央候補委員がいるが、彼らが一堂に会するのが中央委員会全体会議である。慣例ならば5年間の任期中に7回、開催される。それが一中全会から七中全会と呼ばれているわけだ。
7回の全体会議があるといっても、一中全会は党人事、二中全会は国の人事、七中全会は党大会の準備といった具合に内容が決まっている。党大会後に、独自性の高い長期方針を発表できる場としては三中全会が最初の舞台となる。
かくして、過去の三中全会では中国現代史の里程標となる重要な方針が発表されてきた。1978年の第11期三中全会では改革開放路線を確立した。93年の14期三中全会では社会主義市場経済体制が確認された。