ある写真集を手元に置き、時折ページをめくりながら、この原稿を書いている。
『ヘルソン―ミサイルの降る夜に』(f/8)──。フォトジャーナリスト・佐々木康氏がロシアの侵攻下にあるウクライナへ二度赴き、撮影した作品だ。
佐々木氏は4月下旬、取材で知り合ったウクライナの兵士に「平和とは何か」を尋ねたところ、こう返されたという。
「戦争の間の一時的な休息だ」
さらに、兵士はこう語った。
「私たちの本性は、人間が絶えず平和に暮らすことを許さなかった。戦争は繰り返し起こる。私たちの世代は、第二次世界大戦後の長い(あるいは短い)平和な時代を生きることができて幸せだった。今、その時代は終わりを迎えようとしている」
誰しも、この言葉を信じたくはない。だが、この世界から戦争をなくすことがいかに困難であるかも分かっている。そうした〝大いなる矛盾〟の中で、私たちは現下の情勢をどう受け止め、どう考えるべきなのか。そして、日本(日本人)は何ができるのか──。
本特集を組んだ背景にはこうした問いがある。
それでも、平和な世界の実現には多くの壁が立ちはだかる。
