2026年6月7日(日)

オトナの教養 週末の一冊

2026年6月7日

 プロ野球ソフトバンクホークスのメンタルコーチである伴元裕氏が、選手の集中力維持と実力の発揮に向けた思考法を説く本である。試合になると緊張して集中力が維持できないというアスリートは多い。ビジネスパーソンが重要なプレゼンに臨む時や、受験生の試験本番などでも同じである。そこで作用する心の動きを科学的に分析し、意識の持ち方でどんな効果がもたらされるのかを解明した。

(SunnyVMD/gettyimages)

 著者は商社勤務を経て、2025年シーズンからソフトバンクホークスに加入し、メンタルパフォーマンスコーチとして選手のサポ―トを行う専門家である。メンタルについての重要性を学び、実践する中で、自然な形でのセルフメンタル掌握法を示す。

メンタルは身につけられる

 欧米ではプロチームに所属するメンタルの専門家が選手に助言するシステムができており、それを参考に、日本のプロ野球界でもメンタルの重視を図る球団が増えている。パ・リーグのソフトバンクに限らず横浜DeNAベイスターズなどセ・リーグの他の球団でも同様の動きが出始めている。メンタルケアを行うことでフィジカル全体を調整しようという考え方である。

 著者は最初にこう定義する

 メンタルは“気持ち”や“根性”に左右されるものではありません。ましてや、生まれ持って決まっている性格や気質でもありません。誰もが身につけられる「思考の扱い方」なのです。

 外せば負けが決まるサッカーのPKを蹴る前など、大事な場面で気が散るのは「当たりまえのこと」と受け入れ、その中で注意がどこに向いているのか、そして次にどんな行動を選んでいるのかに目を向ける必要があると指摘する。その点について著者はこう記す。

 集中力とは、集中し続ける力ではありません。注意が逸れない力でもありません。注意が逸れたことに気づき、必要な場所へ戻せる力なのです。

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