フィナンシャル・タイムズ紙の6月9日付け解説記事が、北京での習近平との会談後、トランプ大統領が台湾への武器売却は中国との交渉で取引材料になると発言、台湾防衛への米国のコミットメントに改めて疑念を生じさせた、と指摘している。主要点は次の通り。
台湾は、レーガン大統領が1982年に台湾防衛を約束して以来、米国の支援に依存、トランプも台湾への最大級の武器売却を約束している。ところが習との会談後のインタビューでトランプは、武器売却は対中交渉で「良い取引材料」になると述べ、さらに、遠隔の台湾海峡に米軍を送るのは気が進まないとも示唆した。
こうした発言からトランプは約束した台湾への140億ドルの武器売却を実行するのか、また台湾が中国に攻撃されたらどう対応するのかが懸念されている。
ブルッキングス研究所のライアン・ハース中国センター所長は、中国がトランプに期待したのは、①米国は台湾よりも中国重視であることを明確にする、②台湾に関する重要決定は北京を通して決められるべきだとの認識を醸成する、③中台関係に関する米国の将来の姿勢を曖昧にすることだったが、中国はその全てを手に入れたと言う。
一方、ホワイトハウスは、米国の台湾政策に変更はなく、習は台湾には侵攻しないとトランプに約束した、と言っている。
台北が最も懸念するのは、武器売却は取引材料になるという発言で、これは台湾への武器売却について中国が影響を及ぼし得ると示唆したことになる。
台湾ではトランプへの懸念が高まっており、会談前の世論調査では回答者の40%が米国は中国の攻撃から台湾を守ってくれないと思うと答えている。
他方、民進党の立法委員の王定宇は、トランプの発言は問題だが、米台関係は台湾関係法により安泰だと言う。同法は米国が台湾の安全を脅かす勢力に対抗する軍事力を持ち、防衛に十分な武器を台湾に提供すると規定している。
また米政府関係者は、昨年12月に約束した武器輸出の額はバイデン大統領が任期中に承認した84億ドルを上回ると指摘、トランプの言葉ではなく、行動に注目するよう促している。
