ある時、代官山で「メイドイン東京」というTシャツに出会いました。Tシャツを着て見える場所に、ロゴやブランド名が入っているわけではありません。着てみるとそのクオリティーには思わずうなってしまいました。まさに「クワイエットラグジュアリー」です。
これがRe made in tokyo japan「ドレスTシャツ」でした。このTシャツを手掛けるアールイークロージングの早川英也さんにお話を聞きました。
「祖父が東京・神田で、婦人服、子ども服の卸をしていた影響もあって、墨田区にある繊維会社に就職しました。国内のコレクションブランドなどをメインに取引していたのですが、海外生産の企業に押されていく一方でした。メイドイン東京の技術を守りたいという気持ちで、社内ベンチャーのような形でブランドを立ち上げ、2007年に独立しました」
その後、地道な営業活動を続け、認知度が向上していく中で、百貨店にも期間限定でお店を出すようにもなりました。そして「ドレスTシャツ」というコンセプトを、早川さんたちが初めて生み出したのです。
「商標をとっているわけではありませんが、企画した2011年には、そんな言葉はありませんでした。ジャケットにTシャツのスタイルが一般化していく中で、『ドレスシャツ』をTシャツに、というコンセプトです。
難しいのは糸の太さでした。一般的なTシャツは、20〜30番手くらいの太い糸が使われますが、このドレスTシャツは120番手の極めて細い糸が使用されます。細い糸を使ったほうが、上品な光沢感が出るのです。
ただ、糸が細すぎると薄く華奢になり襟などが伸びやすくなるので、私たちは120番手の糸を両面編みの度詰仕様でしっかりとしたつくりで仕上げています。また、ドレスシャツ(布帛)のように織るのではなく、Tシャツ(カットソー)の場合、編むことになるので、細い糸を使う場合、より高い技術が必要となります。
Tシャツといえば、首回り、袖口からよれてへたってきます。そのため、首回りから肩口にかけて『タコバインダー』という、強度を増すための縫い方がなされます。ただ、その分、盛り上がってしまうので、『カジュアル』になってしまいます。それを防ぐために『ドレスTシャツ』では、襟裏に布を当てることで補強をしています。同じように袖口も、単に折り返して縫うだけではなく、そこにもう一枚、布を当てています」
