2025年12月5日(金)

モノ語り。

2025年9月7日

 東京・千駄ヶ谷で、アパレルブランドを展開する今野直隆さんは、コロナ禍を機に2021年、眼鏡ブランド「NOCHINO OPTICAL」を立ち上げました。当時注目された「エッセンシャル」というキーワードを考えた時に日本人の多くが使う「眼鏡」に思い当たったそうです。

(写真・鈴木優太)

 そんな時、知人を介して紹介されたのが、福井県鯖江市出身で、眼鏡業界30年という牧野芳晴さんです。牧野さんをはじめとして、グラフィックアーティスト、フォトグラファーなどのクリエイターが集い、眼鏡という定番品の再構築に挑んでいるのです。

 鯖江の眼鏡製造現場を訪れた時の感動が、NOCHINO OPTICALのHPにはこう綴られています。「敢えて大量生産出来ない製造工程を通ることで民芸品とも呼べるハイレベルな製品作りを行っています」。その上で今野さんは「自分が身に着けるものに誇りを持つと背筋が伸びます」と話します。

 誇りを持つためには、そこにある「物語」を知る必要があるということで、鯖江の現場を訪問してきました。牧野さんが連れて行ってくれたのが、家族経営の伊部眼鏡です。

 「鯖江の眼鏡(樹脂フレーム)は分業体制で、切削、加工、研磨をするという特徴があります。外国で製造される安い眼鏡は、そのような手間をかけずに、溶かした樹脂を成形しています」(牧野さん)


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