GWも後半。旅先から帰宅する人やもうひと遊びする人もいるだろう。
旅先でのお土産や記念品を迷っている人もいるかもしれない。日本各地には、作り手や売り手の思いが込められた商品がたくさんある。そうした〝逸品〟を買うために出かけるのもありだろう。
商品への思いを伝える連載「モノ語り。」の人気記事5本を紹介する。
<目次>
・<火加減の手間なし、吹きこぼれなしの炊飯専用「土鍋」>生んだのは肉厚の”不良品”と「メモ魔」の習性(2025/02/09)
・【タオルより軽くて吸水性が良くすぐ乾く】酷暑の夏に重宝したい、伝統技術で作られる「手ぬぐい」(2024/08/03)
・〈「水の都」が生んだ老舗和菓子〉人情の味がする大阪「出入橋きんつば屋」(2024/11/03)
・〈カレーをきれいにすくうスプーン〉大阪が生み出した「カトラリー」(2024年12月1日)
・外国人も驚く「ノー・バター・クッキー」って?銀座菊廼舎「冨貴寄」”心やすらぐおいしいものを”求めて(2025年3月29日)
<火加減の手間なし、吹きこぼれなしの炊飯専用「土鍋」>生んだのは肉厚の”不良品”と「メモ魔」の習性
ある時まで、ご飯を炊く時は某フランスメーカーの琺瑯鍋を使っていました。おいしいのですが、「はじめちょろちょろ、中ぱっぱ、赤子泣くとも蓋とるな」という通り、手間がかかっていました。そのため、手間いらずの炊飯専用「土鍋」があると聞いたとき、信じられませんでした。中強火で13分、あとは火を切って20分蒸らすだけ(3合炊きの場合)。
この土鍋「かまどさん」を生み出した伊賀焼窯元長谷園8代目の長谷康弘さんに、お話を聞きました。
長谷園のホームページや取説は分かりやすいばかりか、その分量にも驚かされます。そこには「メモ魔」だった康弘さんの父で7代目の優磁さんのDNAが受け継がれているのです。
「私が実家に戻ったとき、家業は危機的な状況にありました。建材として使われるタイル生産が事業としては大きくなっていたのですが、阪神淡路大震災の影響で注文が全くなくなり、在庫の山になっていました。そんな時、父が竈のご飯を土鍋で、しかも火加減の手間なし、吹きこぼれなしで再現することができないかと思案して、それを大量のメモに書きつけていたのです」
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【タオルより軽くて吸水性が良くすぐ乾く】酷暑の夏に重宝したい、伝統技術で作られる「手ぬぐい」
「エリアマネジメント」というものを、ご存じでしょうか? まちづくりを行政任せにするのではなく、地域住民や事業主も積極的に関わっていく取り組みのことです。
私が運営するブックカフェ「Hama House」がある日本橋浜町には「一般社団法人日本橋浜町エリアマネジメント」があり、私たちも事業者として参加しています。その成果として、マルシェの定例開催や、隅田川に架かる新大橋のたもとに「関東大震災避難記念碑」が長年放置されていたのを皆で掃除し、防災の重要性を再認識する取り組みもしています。この取り組みを通じて、大の仲良しになったのが「濱甼髙虎」の髙橋由布さんです。
「もともと、呉服問屋に勤めていた祖父が戦後に独立したのが始まりです。呉服問屋として着物の反物を扱っていましたが、父の代になって、半纏、暖簾、手ぬぐい、袋物などを手がけるようになり、今では、トートバッグやTシャツもつくっています」
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〈「水の都」が生んだ老舗和菓子〉人情の味がする大阪「出入橋きんつば屋」
9月6日、JR大阪駅北口に「グラングリーン大阪」がオープンしました。青々とした緑の芝生が広がり、流線形の大屋根のある野外ステージなど、都心の駅前空間としては日本で他に類を見ないものになっています。
私もこのプロジェクトに参画していたので、このところ大阪通いが続いていました。経済の地盤沈下が指摘されることもありますが、東京と比べても大阪は活気があります。そして人と人の距離が近く、他者を受け入れてくれる寛容さがあります。
この仕事で意気投合した方に教わったのが大阪「出入橋きんつば屋」です。JR大阪駅南口から歩いて10分ほどの場所で、ビルの横に大きくお店の名前が書いてあります。対応してくれたのは3代目の白石誠治さん(59歳)です。
きんつば屋は1930(昭和5)年に、白石さんの祖父が創業しました。お店の名前にもなっている「出入橋」は欄干だけ残して道路になっていて、その上には高速道路が走っています。
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〈カレーをきれいにすくうスプーン〉大阪が生み出した「カトラリー」
「カレーを最後までキレイにすくうことができるスプーンがある」
そう聞いて大阪・中之島の「graf studio」を訪ねました。カフェの他、grafがデザイン・製造した家具、セレクトした各種生活用品などが販売されています。grafは各種プロダクトデザインをするだけではなく、グラフィックデザイン、食や音楽、アートなどのイベントも企画します。様々な手段を使って「『暮らし』にまつわるあらゆる事柄に取り組む」ということで、自分たちのことを「クリエイティブユニット」と呼んでいます。grafの代表で、京都芸術大学の教授でもある服部滋樹さんに話を聞きました。
「私はブランディング=コミュニケーションデザインを専門領域の一つにしています。この連載タイトルにあるように『物語』がとても大事だと考えています。かつては『物が語っていた』。つまり、物ができるまでのプロセスを分かっている人が、その価値を理解して物を買っていたわけです。今はワンクリックで何でも買えてしまう時代ですが、プロセスを知らないことが多い。だから『物を語る』必要があるのです。それは単なるハウツーではなく、そのプロセスを楽しく語ることなのです」
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外国人も驚く「ノー・バター・クッキー」って?銀座菊廼舎「冨貴寄」”心やすらぐおいしいものを”求めて
私の経験では、外国人へのお土産で一番喜ばれるのが銀座菊廼舎の「冨貴寄」です。取材で本店を訪れた際にも、店員の方から「ノー・バター・クッキー」と教えられて「ワォー」と、驚いている外国人との会話が聞こえてきました。
冨貴寄には、和風クッキー、金平糖、和三盆糖、打ち物などの干菓子が約20種類入ってます。和風クッキーは、プレーン、白ごま、黒ごま、紫蘇、抹茶、青のり、黒糖、ココア、生姜、けしの実、ココナッツと11種類があります。
最初は、たくさん入っているなと思うのですが、口に入れるたびに別の味を楽しむことができるので、伸ばす手が止まらなくなります。
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