2026年5月8日(金)

World Energy Watch

2026年5月8日

 アラブ首長国連邦(UAE)は2026年5月1日、石油輸出国機構(OPEC)とOPECプラスから脱退した。UAEの脱退は単なる一加盟国の離脱ではなく、国際石油市場や中東の地域秩序にも影響を及ぼし得る大きな転換点である。

(William_Potter/gettyimages)

 イラン戦争によりホルムズ海峡の事実上封鎖が続く中、UAEの脱退は原油市場の先行き不透明感を高めるだけでなく、UAEとサウジアラビアの関係再編を加速させる可能性がある。

 日本は原油輸入の約8割をUAEとサウジアラビアに依存していることから、両国関係の変化や原油価格の変動は、日本の石油政策にも大きな影響を与えかねない。

揺れ動くOPECの結束

 OPECは60年、欧米の石油会社による価格支配に対抗し、産油国の主権と収入を守るために設立された。創設国は、イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの5カ国である。

 加盟国の石油政策を調整し、原油価格の安定、消費国への安定供給、生産国の利益確保を目標としている。UAEも67年に加盟し、豊富な原油埋蔵量と高い生産能力を背景に、OPEC内で重要な役割を担ってきた。

 その後の石油市場では、2010年代に米国でシェール革命が進み、産油量が大きく増加した。これにより、OPEC加盟国は対米輸出の減少に加え、国際石油市場でのシェア争い、それに伴う油価下落に直面することになった。

 産油国にとって石油収入は重要な財政収入源であり、その減少は経済に大きな打撃を与える。このため、米国のシェール産業に対抗し、市場への影響力を維持するため、OPECにロシアなどの非加盟産油国を加えた「OPECプラス」の枠組みを構築した。16年に初めて会合を開いたOPECプラスの目的も、参加国が協調して原油生産量を調整し、国際原油価格の安定を図ることにある。

 24年時点で、OPEC加盟国の原油生産量の合計は日量2374万バレル(bpd)で、世界の総生産量の29%を占めた。一方、非加盟国を含むOPECプラス全体の原油生産量は3984万bpdに達し、世界全体の48%を占めた(出所:Energy Institute)。この数字からも、OPECプラスが石油市場に大きな影響力を持っていることが分かる。

 中でも主導的な役割を担っているのが、UAE、サウジアラビア、ロシアの3カ国である。24年、3カ国の原油生産量は2273万bpdに上り、これはOPECプラス全体の生産量の57%を占めた。この点から、この3カ国の動向がOPECプラスの政策や国際原油市場に大きく影響していると言える。


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