正直に働く人ほど損をする。生きづらい。
現在の日本に対して、そう感じている人は少なくないだろう。これは気分の問題ではない。会社員の給料は隠せない。所得税も住民税も社会保険料も、本人が受け取る前に差し引かれる。給与明細を見るころには、すでに取られた後である。
一方で、出ていくお金は待ってくれない。家賃や住宅借入金の返済は毎月来る。食費は削りすぎれば生活が壊れる。電気代もガス代も、通勤費も払わなければならない。子どもの教育費も、親の介護費用も、物価が上がったからといって急に減らせるものではない。
しかも、公的負担は軽くない。財務省によれば、2026年度の国民負担率は45.7%、財政赤字を加えた潜在的国民負担率は48.4%に達する見通しである。
もちろん、この数字は国民所得に対する税と社会保険料の割合であり、個人の手取りが一律に45.7%減るという意味ではない。しかし、正直に働く人にとって重要なのは、平均負担率そのものよりも、その負担から逃げにくいということである。
正直に働く人は、取られる側では逃げ場がない。そして払う側でも逃げ場がない。これが、この国で「正直に働く人ほど損をする」と感じられる出発点である。
