2026年7月20日(月)

田部康喜のTV読本

2026年7月20日

 Netflixシリーズ『ガス人間』(7月2日・世界同時配信、全8話)は、国内のシリーズの視聴ランキング上位を連続して週を重ねている。ジャパニーズ・ホラーの歴史に新たな一頁を刻む傑作である。

(Netflixシリーズ「ガス人間」2026年7月2日(木)より独占配信中)

 エンドロールの中に本作の原作として『ガス人間第一号』(東宝配給、監督・本多猪四郎、特技監督・円谷英二、1960年)のタイトルがオマージュとして掲げられている。『ゴジラ』(第一作・54年)シリーズで知られる本多猪四郎監督と、『ウルトラマン』の産みの親である特撮の円谷英二コンビである。

 ジャパニーズ・ホラーの本質とはなにか。『リング』(原作・鈴木光司、中田秀夫監督、98年)や『らせん』(原作・同、飯田譲治監督、98年)などの制作にかかわった、プロデューサーの河井真也さんがYouTubeの「キネマ旬報チャンネル」で回顧している趣旨が適格だろう。

 「もともとホラーは嫌いだった。(米映画の)『13日の金曜日』(1980年)シリーズなど、血が飛び散ったシーンなど好きではなかった。『リング』と『らせん』にかかわって、日本のホラーには(恐怖の裏に)愛があることがわかった」と。

豪華俳優陣が作った原作『ガス人間第一号』の魅力

 ジャパニーズ・ホラーの『ガス人間』に至る歴史を振り返る前に、本作の魅力を述べたい。

 原作『ガス人間第一号』(1960年)を構成する要素がほとんど盛り込まれている。しかも、もちろん脚本はそれらの要素がばらばらにされて、されに優れた脚色によってグレードアップされている。

 なぜ、ガス人間は生まれたのか? ガス人間の犯罪を追う刑事たちのドラマ、警察と時に協力しながらスクープのために対立する美貌のジャーナリスト……。

 『ガス人間第一号』では、宇宙に出ても身体を維持できる人間をつくる実験から、ガスとなってどこにもでも出現できる異形の人間ができあがった。

 ガス人間役に『七人の侍』(黒澤明監督、54年)の野盗から村を守ろうとする若手リーダーの農民役として知られる、土屋嘉男。ガス人間が銀行強盗を続けて資金を援助する、零落した女性日本舞踊家に八千草薫。事件を追う刑事役に名優の三橋達也、相棒というべき婚約者の記者に美貌の佐多契子……。ガス人間・土屋嘉男が愛のために犯罪を重ねる。舞踊家の八千草薫もその愛にこたえるようになる。


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