Netflix制作による世界配信ドラマ『今際の国のアリス』がついに、season3となって配信されている。世界的な人気は前作、前々作にもまして衰えない。
原作は、麻生羽呂のコミック。サバイバルゲームを題材としている。世界的なヒットの理由は、殺戮(さつりく)の残酷な戦闘ゲームのようなシーンにあるのではない。
ゲームをクリアする中で、犠牲者はおびただしい。しかし、それは仮想現実である。作品が本来持っている魅力は、ゲームを競う中ではぐくまれる友情と愛情、自己犠牲にあるのではないだろうか。もちろん、その裏側として裏切りや憎しみ、喜びと悲しみがある。
そして、主人公のアリス(有栖良平)役の山崎賢人と、ヒロインのウサギ(宇佐木柚葉)役の土屋太鳳の鍛え抜かれた体力をもとにした演技と、ふたりとかかわる多彩な人物たちがその内面も含めて巧みに描かれているとことにある。
通じて描かれる2人の愛情の物語
子役として映像界に入った土屋太鳳が今や舞台女優として活躍しているのは、本作の出演によるところが大きいと思う。彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.2『マクベス』(5月)のマクベス夫人役を観た。
舞台は、通しで演じられるために、映像界のように「カット」による体力の温存、回復はない。彼女の演技は堂々たる舞台女優のそれであった。
『今際の国のアリス』season3は、過去のseason1とseason2のサバイバルゲームのストーリーを引き継ぎながらも、アリス(山崎賢人)とウサギ(土屋太鳳)の愛情の物語が全編を貫いている。
