2026年8月17日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年8月17日

 Foreign Policy誌(Web版)は7月6日付けで、軍事紛争はこれまで起こり続けてきたが、やる意味を失ってきていると指摘するスティーブン・ウォルトの論説を掲載している。概要は次の通り。

ウクライナで犠牲となった子供たちと同数のベビーカーを並べた抗議(ロイター/アフロ)

 クラウセヴィッツの『戦争論』の有名な一節、「戦争とは、他の手段を用いた政治の延長である」という言葉の意図は、戦争をするからには、明確な政治的目標があって、それに従って戦略と軍事力使用の態様が選択されなければならないということである。いくら戦場でめざましい成果を上げたとしても、求められている政治的結果を生み出すことができなければ意味がない。

 私(ウォルト)は、この問題を最近よく考える。そして、私は、今日の世界において、戦争はそれをやる意味を失いつつあるのではないかと考え始めている。最近の歴史的状況を考えてみれば良い。

 米国は第二次世界大戦後、多くの戦争を戦ってきたが、いずれも同等の競争者や他の大国と戦ったものではなかった。米国が戦ったのは弱小国であり、多くの場合、強力な同盟国を持たない相手であった。

 だが、1991年の湾岸戦争と83年のグレナダ侵攻を除いて、その成果は芳しいものではなかった。朝鮮戦争は引き分けであり、ベトナム戦争は明確な敗北であった。ソマリアへの介入は屈辱的な撤退で終わったし、コソボ戦争も引き分けであった。イラクとアフガニスタンでの戦争も、多くのコストを伴った撤退に終わった。

 トランプ大統領の愚かなイランへの攻撃は戦略的失敗に他ならない。これらの戦争は、米国をより安全にし、より繁栄させるどころか、米国の状況を悪化させた。

 ソ連、今日のロシアはどうだろうか。79年のアフガニスタン侵攻はソ連の経済状況を悪化させ、その解体の一因となった失敗だった。22年以来のウクライナ侵攻も、同じく多くのコストがかかる泥沼になりつつある。

 イスラエルについても、多くの戦術的な勝利を挙げてきたが、それが長続きする戦略的利益には繋がっていない。イラクのサダム・フセインが仕掛けたイランとの戦争、クウェートへの侵攻も全くの失敗だった。


新着記事

»もっと見る