2026年9月25日(金)

トランプ2.0

2026年9月25日

 欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、16日にフランスのストラスブールでの年次演説で、カナダを欧州連合(EU)の「準加盟国」とする提案を行った。議場にはゲストとして参加していたカナダのカーニー首相の顔もあった。これはもともとカナダ側のイニシアティブによるものであることは9月12日に『ウォールストリートジャーナル』が報じていたとおりである。

フォンデアライエン欧州委員会委員長(右後方)からEU「準加盟国」の提案を受けたカナダのマーク・カーニー首相(AP/アフロ)

 フォンデアライエン委員長の演説の翌日、カーニー首相は、演壇に立ち「欧州とカナダは共にいることでより強くなれる」と述べて、万雷の拍手を浴びた。この件に対して記者に問われたトランプ大統領は、まず一言「ばかばかしい」と述べた後、「善意に基づいているなら構わないが、悪意に基づくものなら欧州に重税を課す」と不快感を顕わにした。

 この背景にあるのは、EUもカナダも共に、第二次トランプ政権になってからの、米国からの関税引き上げによって苦境に陥っている状況がある。特にカナダは、トランプ大統領から、関税のみならず、何度も「51番目の州」と呼ばれ、併合を迫られている。また、トランプは最近も、米加国境の湖であるオンタリオ湖を、「アメリカ湖」と改名しようとするなど、カナダ人の気持ちを逆なでしている。

 トランプ政権から同様に攻撃的態度で圧力を受けているEUが、歴史的に関係の深いカナダと協調しようというのは理解できる話である。ただ、米国と世界で一番長い国境で接するカナダが米国から受けている圧力は並外れたものがある。

 経済的に米国と深いつながりがあり、北米自由貿易協定(NAFTA)とその後継である米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)によって事実上経済が一体化している中、カナダは輸出の7割以上を米国市場に依存してきた。また、安全保障面においても北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)の共同創設者であり、共同で北米大陸の防衛を担ってきている。ロシアから弾道ミサイルが米国に向かった場合、カナダを通ることになり、カナダは重要な役割を果たしている。


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