米国のグリア通商代表は7月1日、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を現行の形で更新することはないと表明した。この決定により、北米の貿易ルールは不透明な状況に置かれることになる。
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カナダとメキシコは協定の16年延長を望んでいたが、今後は毎年見直しが行われるサイクルに入り、3カ国間で合意に至らなければ2036年に失効するという期限が設けられることになった。
米国経済研究所シニア・フェローのデイヴィッド・ヒーバートは、ウォールストリート・ジャーナル紙の7月6日付けで掲載された論説‘USMCA Uncertainty Is Bad for Business’において、そのような状況は、投資家の市場への信頼を損ない、北米に対する新規投資を停滞させ、北米経済に損失を与えるものであり、トランプがそのような判断の根拠とする貿易赤字はそれに値する問題ではない、と論じている。この主張は、経済学上のみならず政策的にも極めて正しく、米国内の多くの経済団体の主張でもある。
ヒーバートの論説の狙いは、世論に対してトランプの不合理さを訴えることなのであろうが、それだけでは、既に米国やメキシコに投資し、あるいは投資しようとしている企業にとってあまり役に立つ情報とは言えない。経済理論的な不合理さにもかかわらず、なぜトランプがこのような決定を行ったかを踏まえて、今後のUSMCAの行く末について考えてみたい。
