早期決着は難しい
トランプにとっての問題は、全面改定であればもちろん、そのような部分合意であっても、議会の承認が必要となると思われることである。現行USMCAの議会承認をした際の議会での迅速審議のためのTPA(貿易促進権限)は、効力を失っており、USMCA改定について迅速な承認を得るのであれば、トランプは改めてTPA法について上下両院の承認を得る必要がある。そうでなければ、審議に時間がかかり、修正案なども出される可能性がある。
民主党も一枚岩ではないが、主流派は、環境や労働条件などの面でのUSMCAの強化を主張するが、三国間の協定体制の維持を主張しており、TPAには賛成しない可能性もある。従って、中間選挙の結果次第で状況は大きく変わってくるであろう。
いずれにせよUSMCAの今後が不透明であることは、対北米投資環境を悪化させ、その期間が長引けば、米国のみならず北米全体の競争力の低下にも繋がりかねない。USMCAは、長年に渡り米国、カナダ、メキシコ間で優れた分業体制を構築しており、これを崩すことは米国にとっての利益とはならず経済界も反対しており、議会の同意なしに脱退できるかについては議論もある。
従って、トランプのUSMCAは必要ないといった発言はブラフである可能性が高く、メキシコ、カナダもそう見ているであろうから、早期の決着は難しいかもしれない。USMCAを活用する企業にとっては、北米原産地規則の強化と米国産部品比率の増加、中国製部品の回避に備えて対応を進めるしかないであろう。

