2026年6月1日付ワシントン・ポストは、中国による経済制裁と海上封鎖が米国の軍事力と経済を麻痺させる可能性があり、早急な対処方法を示唆するブラッドフォード・ブラウンとケネス・ハロルドによる警告的論説を掲載している。
近年、中国による海洋進出は、台湾海峡や南シナ海における軍事的緊張との関連から注目を集めている。同時に中国の戦略的意図を理解する上では、その地域の海上交通路の支配と、それに伴う資源供給網への影響についても検討する必要がある。とりわけ天然ゴムの供給網に対する潜在的脅威は、米国の経済安全保障と軍事即応態勢に深刻な影響を及ぼす可能性を秘めている。
25年12月25日、東シナ海で約2000隻の中国漁船が約467キロメートルにおよぶ隊列を組み、その後も約1400隻の漁船による大規模な行動が確認された。これらの行動は単なる漁業行為を超えた軍事的性格を有する行動で、中国が海洋監視能力の向上や海底地形情報の収集を通じて、将来における海上封鎖能力を構築しようとしていることを示唆している。
中国の海洋支配戦略の中で見落とされがちなのが天然ゴムの問題である。天然ゴムは自動車、航空機、医療機器、産業機械など数万種の製品に使用される不可欠な原材料で、特に国防分野では代替が効かない戦略物資である。高性能戦闘機のタイヤは極端な温度変化と高荷重に耐える必要があり、天然ゴム特有の弾性と耐久性が不可欠である。
一方、米国は天然ゴムを国内ではほとんど生産していない。主要供給源はタイ、インドネシアおよびマレーシアで、その輸送はマラッカ海峡やシンガポール海峡を経由する。
これら海峡は世界有数の要衝で、軍事的封鎖や航行妨害に対して脆弱な地域である。仮に中国がこれらの海上交通路に対する支配を強化した場合、米国への天然ゴム供給は深刻な制約を受ける恐れがある。
こうした課題に対応するため、米国は少なくとも四つの政策的対応を検討すべきである。
第一に、天然ゴムを国家的な重要資源として再定義し、国内供給基盤の構築を推進すること。国土安全保障省は供給網の監視体制を強化し、在庫状況や供給リスクの把握を進める。また、エネルギー省は天然ゴムを重要物資として、生産拡大を目的とする研究開発や産業投資を支援する。特にグアユールや TKタンポポ等の代替ゴム資源は米国内で栽培可能である。
第二に、国家備蓄制度を再構築すること。天然ゴムは短期間で増産できる資源ではないため、供給途絶に備えた戦略備蓄が不可欠である。少なくとも45日分以上の備蓄を確保し、国防総省と農務省が共同管理する体制を構築する。
