2026年7月10日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年7月10日

 Foreign Policy誌のコラムニストでジョージタウン大学教授のローザ・ブルックスが、6月15日付けの論説で、いまや主要国の国家指導者は国際法を遵守する「振り」さえしなくなったとして、これは「制度化された国際道徳」たる国際法の終焉を意味する、と結論づけている。主要点は次の通り。

(Alexander Sikov/Getty Images・ロイター/新華社/AP/アフロ)

(国際法を無視する指導者たち)

 国家はしばしば国際法を無視したが、それを完全に否定することは避けていた。ところが近年、主要国は国際法遵守という行為そのものを放棄する傾向が強まっている。トランプ大統領は、自身の権力に対する唯一の抑制力は自身の道徳心であるとして、「私を止められるのはそれだけだ。…国際法など必要ない」と語った。

 ロシアでは、プーチンが昨年、「遠く離れた誰かが定めたルールに従う用意のある者は誰もいない」と宣言した。習近平は2019年、「台湾統一は、いかなる勢力も、いかなる人物も阻止できない」と宣言し、中国外務省は、常設仲裁裁判所による自国に不利な判決を「ただの紙切れ」と嘲笑した。

(国際法に最も破壊的打撃を与えたのはその支持者自身)

 ただし、プーチンとトランプに責任を押し付けたくなる気持ちもわかるが、国際法に最も破壊的な打撃を与えたのはむしろ、その最大の支持者を自称していた人々だ。国際法は何十年にもわたって致命的な傷を負っており、プーチンとトランプはとどめを刺したに過ぎない。

 ホロコーストと二度の世界大戦の凄惨な惨劇の後、国際法制定事業はかつてないほどの切迫感、理想主義、そして野心を帯びるようになった。国連憲章、世界人権宣言、そしてジュネーブ条約は、いずれも主権国家が一定の自由を犠牲にしてより大きな安全保障を求め、より公正で公平な世界というビジョンを受け入れるという賭けであった。

 20世紀後半には、国家間の武力紛争が急激に減少した。冷戦による停滞期を経て、1990年代の出来事は、戦後の大胆な賭けが正しかったことを一時的に証明したかに見えた。しかし、国際法と国際機関の急速な拡大は、国際システムの内部矛盾、特に国家主権への国際法上のコミットメントと基本的人権へのコミットメントとの間の深刻な乖離を増幅させた。

(ある程度の偽善はシステムの一部として容認された)

 ある程度の偽善は、このシステムの一部として容認されるようになった。冷戦時代の列強は、とてつもない偽善者であった。


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