2026年8月19日(水)

デジタル時代の経営・安全保障学

2026年8月19日

 令和8年熊本地震が発生してから約3週間経つが、SNS上の偽情報の拡散がおさまる気配はない。発生直後からSNS上では生成AIを用いた加工画像や悪質なデマ情報が多数拡散した。

(gettyimages/Cunaplus_M.Faba・ロイター/アフロ)

 イオンモール熊本で起きた事故に便乗し、従業員の親族を装い「母が亡くなった」と嘘の投稿を拡散し、電子マネーを騙し取る詐欺へ発展した例や、倒壊した自宅前で厳しい表情を浮かべる被災男性の写真が生成AIで加工され、笑顔でピースサインをしている偽画像が拡散された例など、閲覧数(インプレション)稼ぎと思われる投稿が後を絶たない。

 これらの大量の偽情報の発信は、タイムラインを埋め尽くし、被災者が救難や断水など支援要請しても救助隊員や自治体に情報が届かなくなる可能性につながる悪質な行為である。

問題が多い『広告収益分配プログラム』

 偽情報を発信する者の目的はその発信者によって異なる。中国や北朝鮮の場合はプロパガンダ組織が愛国心や反日感情を掻き立てる目的で、原発処理水の海洋放出に起因する天罰とする説や日本政府が秘密裏に核実験を行い人工地震が発生したという陰謀説などを流している。また、偽情報を流すことで日本国内に政府に対する不信感を醸成することや日本政府の危機管理能力を測ることを目的にしている。

 一方、個人が偽情報を発信する目的は、主に金稼ぎのようだ。10年前の2016年4月14日に起こった熊本地震では、ライオンが動物園から逃亡したなどの愉快犯的な動機が大半だったが、今回は、X(旧Twitter)が23年の7月13日から開始した「広告収益分配プログラム(Creator Ads Revenues Sharing)」によって投稿を金に変える目的が大きな動機になっている。


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