フランスで6月15日から17日にかけて開催された主要7カ国首脳会義(G7サミット)において、その主役は米国のドナルド・トランプ大統領だった。イランとの覚書合意を受け、欧州諸国は、米国がウクライナ問題への関与を再び強めることを期待した。
そうした中で、高市早苗首相の存在感はどのようなものであったか。サミットの日本の存在感と日本外交におけるサミットを改めて考える。
「主役」トランプと〝腫れ物〟にさわる欧州
トランプ大統領は会期開始後、「ボスは自分だ」と豪語し、「我々はイラン問題に集中していたが、それはもう終わったことだ」と、尊大な姿勢を隠そうともしなかった。
これに対して、欧州諸国とカナダは表向きトランプ大統領のイラン合意に向けた働きを評価した。主催国のマクロン大統領は米・イラン合意へのトランプ大統領の署名をヴェルサイユ宮殿で行い、同合意の成果を誇張して演出する姿勢を示した。ドイツのメルツ首相はトランプと書かれたワールドカップの選手のユニフォームを同大統領に示してご機嫌伺いをする始末だった。
欧州各国首脳はトランプに対して腫れ物に触るような対応だ。実はこの姿勢は昨年トランプ第二次政権が発足して以来、ずっと続いている。その真意は第一に欧州隣接のウクライナ戦争で米国の軍事的支援が不可欠であるという点にある。
その背景には欧州諸国だけではロシア軍に十分対抗できない事情がある。トランプ大統領は欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国に軍事的負担を増加させるようにずっと求めている。サミット直後に開かれたNATO理事会で、米国のヘグセス国防長官は欧州各国の防衛費の増加を再度強調した。
欧州連合(EU)はじめ欧州各国は昨年初めのフォンデアライエン欧州委員会委員長の「EU再軍備宣言」にもかかわらず、欧州共通防衛政策の音頭取りをするフランスと英国、そしてドイツ、ポーランド、スウェーデン以外は動きが鈍い。その背景にはロシアに対する各国の間での脅威認識の違いがある。地中海・南欧諸国は、中欧やロシア隣接諸国と違い脅威感は弱い。
G7でも欧州主要国はトランプのご機嫌をとることで米国の欧州離れを食い止めようとしたのである。この構図はウクライナ戦争開始以来繰り返されている。
