2026年7月9日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年7月9日

 フィンランド議会が核兵器の「持ち込み」を可能とする法改正を可決したことを受けて、2026年6月17日付ニューヨーク・タイムズが、これはフィンランドの安保政策の大転換であるとし、同時にロシアを刺激し緊張を高めるという側面を強調している。

(Yanleth Rivera/scanrail/Getty Images)

 6月17日、フィンランド議会は、冷戦時代の核兵器全面禁止を覆す法案を賛成125票、反対 61票で可決した。同国政府は、この措置によって北大西洋条約機構(NATO)の同盟関係が強化されると述べているが、同時にロシアとの緊張を高めるリスクも伴う。フィンランドは核保有国ではなく、今後も核保有国になる予定はないと繰り返し表明している。

 今回の法改正で、フィンランドは自国防衛やNATO支援のため、同盟国の核兵器をフィンランド領内に持ち込み、通過させまたは領域に配置することを認めることになる。フィンランド議会国防委員会のアウット委員長は、「核抑止力こそが、最終的に欧州の平和を保証するものだ」とし、これが「ロシアの侵略に対する究極の抑止力だ」と述べた。

 フィンランドがNATOに加盟したのは、22年のロシアによるウクライナへの侵略がきっかけだった。ロシア軍は、いまやNATO加盟国と接する最長約1340キロメートル(km)におよぶ国境付近で、基地の増強や軍事インフラの整備を進めている。

 フィンランドは今年、軍事費増額計画を発表し、ここ数カ月、フィンランド政府高官は核兵器(持ち込み)禁止の撤廃がフィンランドの安全保障を強化し、NATO同盟国への支援を向上させると主張してきた。ハッカネン国防相は、「冷戦時代の核兵器全面禁止を撤廃することで、我々は法制度を最も緊密なNATO同盟国に合わせる」と述べた。これは、数十年にわたりロシアとの関係を慎重に維持してきたフィンランドにとって大きな転換点であり、反核活動家たちはこの決定がロシアを刺激するのではないかと懸念している。

 モスクワ・タイムズによると、ロシアのペスコフ報道官は3月、「フィンランドが自国領土に核兵器を配備すれば、我々にとって脅威となる」と警告し、「フィンランドが我々を脅すならば、我々は適切な措置を取る」と述べていた。

 ソ連崩壊後、フィンランドは長年にわたりNATO加盟を避けてきた。その理由の一つは、ロシアを刺激することを警戒していたからだ。


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