2004年に小泉純一郎元首相と盧武鉉元大統領の間で始まった「日韓シャトル外交」は、高市早苗首相と李在明大統領の間でも行われ日本と韓国は良好な関係を維持している。
しかし、これまで何度も日韓関係を悪化させてきた領土問題や慰安婦や徴用工といった歴史問題が解決したわけではない。実際、日韓シャトル外交も歴史問題が一因となって11年から約12年もの間、停止していた。
昨年6月に発足して以来、「実用外交」を掲げて日韓の協力を重視してきた李在明政権も、自衛隊と韓国軍の軍事協力である「物品役務相互提供協定(ACSA)」には慎重な姿勢を崩さない。歴史問題が解決しておらず、韓国の国民の理解が得られないというのがその理由だ。
そうした中、今年の6月に「親日反民族行為者財産の国家帰属などに関する特別法」、通称「親日財産帰属法」が公布された。国家が〝親日派〟とされる人物の財産を没収する法律だ。この法律の制定は、一見すれば李在明政権が〝反日〟へと舵を切ったかのように見える。
だが、親日財産帰属法は反日政策ではない。一般的に親日派という言葉は「日本に好意的な態度をとる非日本人」を意味するが、韓国では1910年から45年にかけて行われた日本の植民地支配に協力した人物を指す。そのため、日本で親日的なイメージを持たれている尹錫悦前大統領は60年生まれのため親日派には当たらず、親日財産帰属法の対象でもない。この法律が財産を没収する対象は、かつての日本の支配に協力した親日派だ。とはいえ当事者は寿命などですでに死去しているから、実際はその子孫が対象となる。
韓国で親日派は慰安婦、徴用工と並ぶ歴史問題の一つだ。だが、親日派問題は日本に何かを要求するものではない。あくまでも韓国国内の問題であるという点で、慰安婦や徴用工とは大きく異なる。こうした奇妙な親日派の歴史を紐解くことは、現在の韓国社会を理解し、日韓関係を冷静に見極める一助となるだろう。
