報道によれば、自民党の「こども・若者」輝く未来創造本部は5月15日、子ども政策の提言案を示し、「政策の効果が見えず、少子化傾向の反転につながっていない」との批判に言及しつつ、発足3年のこども家庭庁に大胆で強力な政策推進を求めた。この「結果が見えない」状況が、こども家庭庁の存在意義への国民の疑問を増幅させている。
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給付と孤立の逆説
社会を支えてきた基盤が静かに崩れつつある。令和日本の市民の多くが、言語化しきれないままにそう感じている。
世界有数の経済規模を誇りながら孤独死は年間数万件に達し、引きこもりは中高年層にも広がり、未婚率は上昇を続け、地方都市では商店街が消え、隣人の顔を知らない状況が常態化した。物質的な豊かさと社会的な孤立が、奇妙な仕方で共存している。
政府の応答は一貫してきた。新たな給付制度を設け、支援メニューを拡充し、社会保障を厚くする。しかしこの処方は症状への対処にとどまり、病因への処方となっていない。
本稿が問うのは、この逆説の構造的な根拠である。すなわち、社会保障の肥大化それ自体が孤立と少子化を生む原因の一端を担っているのではないか。そうであるならば、いかにして給付型の応答から市民的な互恵と信頼の再建へと転換できるか。この問いが本稿の核心をなす。
