5月26日付けニューヨークタイムズ紙の解説記事が、ウクライナ戦争とイラン戦争が、軍事技術、戦術、外交関係への影響などにおいて如何に密接に関連し合っているかを示した上で、ウクライナ戦争に対し、イラン戦争を「二次戦線」と位置付けてはならない、としている。要旨は次の通り。
ウクライナとイランの戦争は、陸上戦と海空戦で大きく異なっているように見えるが、両者の類似性はすぐに明らかになった。いずれの紛争においても、より強力な軍事力を持つ国が敵を打ち負かすことができていない。二つの戦争は、現代戦の進化について多くの教訓を与えてくれることになるだろう。
(1)技術が戦争の様相を一変させる
非対称戦術は、ウクライナとイランが、従来型の軍事衝突では太刀打ちできない強力な敵を撃退するのに役立っている。
イランは湾岸の同盟国を攻撃することで米国に打撃を与えた。また、機雷や武装高速艇を用いて狭いホルムズ海峡を封鎖し続けている。
ウクライナはモスクワでロシア軍高官を暗殺し、ロシアの石油施設を定期的に攻撃している。さらに海上ドローンも投入し、ロシア黒海艦隊の戦力を無力化しようとしている。
専門家らは、これら二つの紛争が、イノベーションとテクノロジーがいかに戦争のあり方を変えつつあるかを如実に示していると指摘する。カーネギー国際平和財団の軍事専門家マイケル・コフマン氏は、ウクライナで開発され湾岸地域に配備されたセンサー、誘導ミサイル、ドローン、そして多くの場合AI搭載技術を組み合わせた多層的なシステムは、「世界中で急速に拡散する可能性が高い」と述べている。
(2)類似の攻撃戦略
イランは2022年、ロシアに「シャヘド」ドローンを供与し、ロシアはこれを用いてウクライナを攻撃した。今年、今度はイランが、ロシアによる軍事支援を受けて同型ドローンを湾岸諸国に向け発射した。米当局者によると、カスピ海経由でのドローン部品の輸送も行われているという。
イランに関係する船舶の一部が、ホルムズ海峡で位置情報追跡装置を偽装した可能性があるが、これはロシアの「闇の船団」が米海軍による探知を逃れるため長年培ってきた戦術を模倣したものだ。
3月には、キプロスの英国基地を標的としたイランのドローンから、ロシア製の対電子妨害機器が発見された。
4月、ヒーリー英国防相は「ロシアがイランの攻撃を支援している証拠を我々は確認している」とした上で、「プーチン大統領は我々を中東紛争に引きつけようとしている」と述べた。
(3)外交関係
イラン戦争は、欧州諸国の多くの指導者が不必要かつ違法だと考えている中で、同盟関係、なかんずくトランプ政権と欧州諸国との関係に緊張をもたらしている。
