米国とイランは6月14日、イラン戦争の戦闘終結に向け合意した。双方はそれぞれ「外交的勝利」と発表、19日にジュネーブで覚書に調印する。
トランプ大統領は中東を「米国好み」に変容させたと成果を誇示したが、実態は戦前の状態に戻っただけ。戦略的要衝ホルムズ海峡の支配をイランに握られたことを考えれば、状況はかえって悪化した。何のための戦争だったのか。
80歳の誕生日を合意で祝福したかった
トランプ大統領らによると、双方は60日間戦闘を停止。19日以降イランはホルムズ海峡を開放、米国もオマーン湾などで続けていた海上封鎖をやめ、船舶の運航が自由になる。大統領は「永久的に無料航行できる」としたが、「無料航行」は停戦期間中に限定されるようだ。
イランのアラグチ外相は将来的にサービス料を徴収するとしているが、外務省報道官はあくまでも「通行料ではない」と説明している。しかし、どんなサービスの対価なのかについては明らかにしていない。
いずれにせよトランプ大統領のいう「永久的に無料航行」とは明らかに異なり、停戦期間後に深刻な対立の火種となるだろう。戦前は船舶が自由に航行できていたが、イランが海峡を事実上封鎖し、世界経済に大きな打撃を与えたことで、米国は戦争の目的を海峡の開放に絞らざるを得なくなった。
第一、大統領は当初「無条件降伏以外の選択肢はない」と主張していたにもかかわらず、実際にはホルムズ海峡を開けるのに必死になり、核問題の協議をイラン側の主張にそって先送りにした。大幅な譲歩で、イラン側の粘り勝ちだ。19日から行われる最終合意に向けた核協議は対立点が山積している。
米CNNによると、トランプ氏が「イランとの合意が近い」と言明したのは約40回にも及ぶ。それだけ合意を欲していたわけだが、最近では“オオカミ少年”よろしくほとんど信じられなくなっていた。
そうした大統領が「14日の合意署名」にこだわったのはこの日が80歳の誕生日だったからだ。自分の誕生日を合意で祝福したかった。
逆にイラン側はなんとしても大統領の思うようにはさせたくなかった。イラン側が合意を最終的に承認したのは15日の未明になってからだ。大統領へのいやがらせだった。イランのガリババディ外務次官が、支援する武装組織のヒズボラがイスラエルと交戦中のレバノンを含め全戦線での戦闘終結を宣言し、イスラエルのレバノン攻撃にくぎを刺した。
