早くも破綻がささやかれる核協議
ホルムズ海峡がいつまで開放されるかも危ういが、19日以降に始まる核協議も難航が必至だ。トランプ大統領らの発言によると、覚書ではイランが核兵器を開発ないしは購入しないことがうたわれる見通し。だが、イランが主張する核開発やウラン濃縮の権利の放棄まで盛り込まれるかは流動的だ。
トランプ大統領はこれまで、イランの濃縮活動停止期間を「20年」と発言、一定の譲歩をする姿勢を示しているが、「永久に低レベルの濃縮に限定される」とも指摘しており、イラン側の抵抗は必至。イランは3つある核関連施設の解体にも反対する見通し。
イランが保有する濃縮度60%のウラン440キロの処理も大きな対立要因だ。この濃縮ウランからは比較的容易に核爆弾を製造することが可能。イスファハンの核関連施設に貯蔵されていたが、米軍やイスラエル軍の爆撃でがれきに埋もれている公算が強い。トランプ大統領は米軍が処理チームを派遣して回収し、米国内に搬送すると主張しているが、イランはこれに反発している。
ニューヨーク・タイムズによると、大統領は合意後のインタビューで、オバマ元大統領がまとめた「イラン核合意」と今回の合意とは「全く違う」と言明。なぜなら「核兵器の製造が不可能になるからだ」としているが、「核合意」では合意文書の1ページ目でイランが「核兵器を製造しない」ことを確認しており、つまるところ「核合意」と同じような内容になるのではないかと指摘されている。
大統領はオバマ氏を敵視しているが、最終的に「核合意」と変わらなければ、「結局は何のための戦争だったのか」という疑義を提起することになるだろう。今後の核協議で米国の交渉カードは「イラン制裁解除」と「凍結資産解除」。凍結資産は200億ドルを超えているとされ、経済に苦しむイランにとっては喉から手が出るほどほしい資金だ。
これらのカードでイランに譲歩させることができるかは予断を許さない。今回の合意は肝心なことはすべて先送りしたわけで、早くも「核協議の破綻が見えるようだ」との声は強い。中東専門家は「トランプは破綻した場合、完全にイラン問題から手を引くかもしれない」と放り出す可能性に言及している。
イスラエルにとっては「ひどい合意」
今回の合意で最大の犠牲になったのはイスラエルのネタニヤフ首相だ。首相は開戦に当たって大統領をうまく引きずり込んだ。
だが、米国とイスラエルではそもそも戦争目標が同じではない。イスラエルはイスラム政権の転覆、核開発計画の壊滅、弾道ミサイル開発の停止、ヒズボラなどイランの代理武装勢力への援助停止を目標にしているが、何一つ実現していない。
