教養としての中東情勢
日々過激に動く中東情勢。日本人にはつながりが薄く、その複雑怪奇な社会背景もより、理解することは難しいが、知っておくべきことは大いにある。教養として知るべき中東の「今」を、ニュースを紐解きながら解説していく。(Popartic/gettyimages)

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2022/07/03 佐々木伸
フィンランド、スウェーデンのNATO加盟を承認し、欧州の安全保障地図は劇的に変わることとなった。反対していたトルコのエルドアン大統領に、クルド人問題などで譲歩を与えた末の決着で、同氏の面目躍如といったところだ。舞台裏の同氏の駆け引きを探っ…
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2022/06/22 佐々木伸
イスラエルのベネット政権が崩壊した。10月にも総選挙が実施される見通しだが、ネタニヤフ前首相が刑事被告人ながら政権奪取に意欲を示し、政治が混迷するのは確実な状況。イランの核脅威が高まっている中でイスラエルの内憂外患は一段と深まりそうだ。
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ウクライナ戦争で小麦輸入ピンチ
2022/06/18 佐々木伸ウクライナ戦争による小麦の輸入難で中東、アフリカ諸国は食料危機に直面しているが、中でも小麦の輸入世界一のエジプトと破綻国家レバノンは窮地に陥っている。だが、その背景には両国の支配勢力が私腹を肥やす〝腐敗の構造〟もあるようだ。
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2022/05/18 佐々木伸
フィンランドとスウェーデンはNATOに同時加盟申請することを決めたが、古参メンバーであるトルコのエルドアン政権がこの加盟に難色を示して抵抗し、欧米は説得に躍起だ。〝ごね得狙い〟とも見えるエルドアン氏の思惑は何なのか。
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2022/04/13 佐々木伸
トルコのエルドアン大統領がウクライナ戦争の停戦仲介に意欲を示し続けている。同国はロシアとウクライナ両国と良好な関係にあり、戦争の調停で存在感を誇示し、経済悪化に伴う自らの政治的な危機を脱却、来年の大統領選挙での再選を狙っているようだ。
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2022/03/14 佐々木伸
ロシアはウクライナ侵略でシリア人傭兵部隊を投入するなど、複雑な様相を見せ始めた。裏では、プーチン大統領の私兵軍団とも呼ばれる民間警備会社「ワグネル」の暗躍が取り沙汰される。「ロシア軍の損害が予想以上に甚大である証拠」との見方が強い。
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ウクライナ戦争でロシア寄りの動き
2022/03/08 佐々木伸ウクライナ戦争は中東にも大きな影響を及ぼしてきた。注目されるのはサウジアラビア、UAEが冷遇されてきたバイデン米政権に反旗を翻す動きを見せる一方、核合意再建協議の合意が近いとされていたイランも強硬姿勢に再び転じる態度を示していることだ。
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それでもイスラム国は消えない
2022/02/06 佐々木伸米軍特殊部隊がシリア北西部で対テロ作戦を実施、イスラム国(IS)の指導者クライシ氏が自爆死した。激しい銃撃戦の中、故障したヘリを爆破して退避するなど薄氷の作戦だった。ワシントン・ポストや中東専門誌などの情報から緊迫した作戦の模様を追った。
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2022/02/02 佐々木伸
イスラム国(IS)によるシリア北東部ハサカの刑務所襲撃事件は、クルド人のシリア民主軍が10日間の戦闘の末、鎮圧した。戦闘には米軍も参戦、3年前のIS壊滅以来最大の戦闘で、死者は500人を超えた。襲撃は残存勢力が依然顕在であることを示すもの…
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2022/01/25 佐々木伸
イランのライシ大統領がこのほどロシアを訪問し、プーチン大統領と会談し、外国の首脳として下院で異例の演説を行った。米国と敵対する中露とイランによる3国枢軸が一段と鮮明に。「敵(米国)の敵は味方」という国際関係の構図が浮き彫りになった。
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2022/01/19 佐々木伸
アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで1月17日、イエメンの親イラン反政府武装組織フーシ派のドローン攻撃を受けた事件は、エネルギー資源の宝庫ペルシャ湾を一気に緊張させた。戦闘が激化すれば、高止まりにある原油価格がさらに高騰する懸念もあ…
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皇太子のイランとの〝天びん外交〟への思惑
2021/12/17 佐々木伸イスラエルのベネット首相がUAEを訪問し、ムハンマド・アブダビ皇太子と会談。かつての敵陣営への「歴史的訪問」となった。焦点は双方にとって最大の脅威であるイラン問題。皇太子は事前にイランに特使を派遣するなど〝天びん外交〟を展開した。
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米イラン核合意再交渉の裏でイスラエルとの対立激化
2021/12/03 佐々木伸イラン核合意の再建を目指す米国とイランの間接協議が5カ月ぶりに再開された。イラン側は協議を「不当な制裁を解除するのが目的」としてハナから〝けんか腰〟、難航は必至だ。この裏でイランと不倶戴天の敵イスラエルがサイバー攻撃合戦を激化している。
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「黒幕」はロシアのプーチン大統領か?
2021/11/24 佐々木伸ベラルーシ西部のポーランド国境にEU流入を図る難民が集結している問題は〝欧州最後の独裁者〟、ベラルーシのルカシェンコ大統領が仕組んだことが濃厚となっている。しかし、EUに揺さぶりを掛けるつもりが、追加制裁を受けるなど墓穴を掘った格好だ。
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民族派サドル師の勝利が引き金か
2021/11/18 佐々木伸イラクのカディミ首相暗殺未遂事件は、先月の総選挙で勝利者となった民族派サドル師の政治改革方針が要因となった可能性が高い。各政治勢力の対立や隣国イランとその影響下にある武装組織、迫りくる米戦闘部隊の撤退など複雑に絡み合う深層を探った。