2025年4月22日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年4月15日

 ウォールストリート・ジャーナル紙の3月27日付け解説記事が、英仏を中心に欧州等の有志国で議論されているウクライナへの部隊派遣構想は、結局のところ米国の関与が得られるかどうかが鍵となるが、まさにその点が明らかでないことから行き詰まっている、と指摘している。要旨は次の通り。

(gladder/BreakingTheWalls/EvgeniyShkolenko/gettyimages)

 英仏両国は、和平交渉を確たるものとする目的でウクライナに部隊を派遣しようと他の欧州同盟国への説得を続けているが、米国が安全保障を担保する意思につき疑念が高まる中で、作業は行き詰まっている。

 マクロン大統領は3月27日、ゼレンスキー大統領を含む数十人の各国指導者をエリゼ宮に集め、ウクライナへの派遣の可能性がある陸・海・空部隊の配備に関する合意をまとめようとしたが、他の欧州諸国から部隊派遣の公約を得ることができなかった。同大統領の記者会見によれば、「いくつかの国」が「非公式」に部隊派遣の意向を表明したにとどまる。

 マクロン大統領によれば、英仏両国は当面まずウクライナにチームを派遣し、キーウにとって必要な欧州軍の人数と配置場所を決定する。また、派遣される顧問団はウクライナ軍と協力して、ロシアの侵略を阻止できるよう訓練と装備を整える予定だ。

 欧州諸国の懸念の核心は、派遣された部隊がロシアの攻撃を受けた場合、米国が何らかの形で支援するのかどうかである。ワシントンは今のところ何の約束もしていない。トランプ大統領のロシアとの首席交渉官であるウィトコフは、フランスと英国の取り組みを「格好だけ」で「ウィンストン・チャーチルになろうとする」試みだと一蹴した。

 いまや欧州に迫られている問題は、地域安全保障の保証人としてワシントンの代わりを務める用意があるのかということである。欧州各国政府は軍事費を増額している。ドイツは最近、1兆ユーロの防衛・インフラパッケージを可決し、ブリュッセルは2030年までに軍事費を8000億ユーロ増やすことを目指す計画を浮上させている。

 英仏両国は、トランプ政権がロシアとの協議で欧州をほとんど無視したことを受けて、この部隊派遣計画を、交渉への参加を認めさせる手段とみている。英仏はウクライナに部隊を派遣することで、将来のロシアの攻撃を抑止すると同時に、欧州がウクライナの安全保障の重荷を担う用意があることをワシントンに示すことを目的としている。

 米露間の話し合いが深まるにつれ、欧州当局はワシントンがロシアの要求に屈している兆候を警戒している。同時に、欧州の外交官らは、モスクワとトランプ政権から紛争終結の障害とみなされることも警戒している。


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