2026年6月18日(木)

教養としての中東情勢

2026年6月16日

 イスラエルは米国とイランの停戦協議からは事実上外されており、安全保障上のリスクであるヒズボラとの戦闘もタガがはめられ、ホルムズ海峡の開放が最大の目的になった米国との溝は開く一方。今回も合意直前にベイルートのヒズボラ拠点を攻撃したことから大統領から再び罵倒されることになった。

 大統領は1日にもヒズボラへの攻撃をめぐり、首相を「何てことしやがるんだ」「完全に狂っている」などと非難したが、今回も「本当に腹が立った」「首相は小さな判断力もない」などと痛罵し、「なぜ攻撃したのか」「合意をつぶすつもりか」と怒鳴りまくった。首相はヒズボラ攻撃を中止せざるを得なかった。

 合意はイスラエル国内ではすこぶる評判が悪い。ヘブライ語紙のイディオト・アハロノトの一面の見出しは「ひどい合意」。ラピド前首相は「外交安保政策の最も衝撃的な失敗の1つ」と容赦ない。10月末までの総選挙が控える首相は「イランに核保有させない」点でトランプ大統領と一致していると釈明したが、合意を推進する大統領と国内の批判派との間でジレンマに揺れている。

イランに媚びる湾岸諸国

 ペルシャ湾岸地域では戦後イランの存在感が強まるのは間違いない。ワシントン・ポストによると、カタールは開戦後、水面下で世界最大規模のガス田「ラスラファン」を攻撃しないようイランに求め、その見返りにカタールも天然ガスを生産しないと持ち掛けた。ガスの価格を高騰させて米国に圧力を掛けるためだ。開戦後3日目に同ガス田に攻撃を受けたが、それ以後攻撃を受けていないという。

 中東専門誌によると、イスラエルとの関係を深め、イランと対峙してきたアラブ首長国連邦(UAE)はこのほどイラン側と秘密協定を結び、賠償金として30億ドルを支払ったという。交渉のためイラン革命防衛隊の幹部が6月、UAEの迎賓館に滞在していた。イランに媚びを売り始めた湾岸諸国はすでに戦後の力関係を見据え動き始めた。 

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