2026年5月8日(金)

World Energy Watch

2026年5月8日

 こうした中、UAEはイスラエルへの関係強化の動きが見られる。20年に関係正常化を果たしたアブラハム合意後、UAE・イスラエル関係は経済協力にとどまらず、軍事・安全保障分野へ急速に広がっている。

 英フィナンシャル・タイムズによれば、イスラエルはイランのミサイルやドローン攻撃からUAEを守るため、高度なレーザー兵器を含む最先端の兵器システムをUAEに供与したとされる。具体的には、防空システム「アイアン・ドーム」に加え、ドローン探知システム「スペクトロ」や、レーザー防衛システム「アイアン・ビーム」の派生型が送られた。

 UAEにとってイスラエルは、高度な防空技術や情報収集能力を提供できる重要な安全保障パートナーになりつつある。一方で、イスラエルとの軍事協力を深めることは、UAEが米国・イスラエル陣営にさらに接近していることを意味する。そのため、イランからの警戒や反発が一段と強まる可能性がある。

日本の石油政策への影響

 日本にとってもUAEは重要な国である。25年の日本の原油輸入に占める国別シェアは、UAEが43.3%と最も高く、サウジアラビア(総輸入量の39.3%)を抑え、首位となった。UAEは直近2年連続で日本にとって最大の原油調達先となっている。

 またUAEのアブダビ首長国では、日本企業が海上・陸上油田の権益を保有し、原油の自主開発・生産に直接関与している。日本が資源開発に携われる数少ない産油国である点を踏まえると、UAEの戦略的重要性は一段と高まっている。

 イランでの戦闘が終結し、ホルムズ海峡の通航が正常化すれば、UAEの増産は日本の石油政策にとってプラスに働くだろう。UAEが増産に踏み切れば、他の産油国も自国の市場シェアを守るため、増産に動くと予想される。

 その結果、産油国間のシェア争いが強まり、原油価格に下押し圧力がかかることも考えられる。原油価格が下がれば、日本の原油調達コストは低下し、ガソリン価格の引き下げにもつながる可能性がある。

 ただし、イラン戦争後にUAE産原油の輸入をさらに増やす場合には、慎重な対応も求められる。UAEからの調達拡大は、サウジアラビアやクウェートなど他の中東産油国からの輸入を相対的に減らすことになりかねない。

 その場合、UAE産原油を優先する日本に対し、これらの産油国が不満を強める可能性がある。日本は、UAEとの関係強化を進めつつも、他中東産油国との関係を損なわないよう、調達先のバランスを慎重に管理する必要がある。

 またイラン戦争を教訓に、ホルムズ海峡に過度に依存しない供給網の構築も求められる。将来的には、中東産油国との関係強化を軸とした安定調達を図りながらも、ホルムズ海峡を迂回できる原油の調達先や輸送ルートをこれまで以上に確保することが、日本の石油政策上の課題となるだろう。

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