2026年5月7日(木)

トランプ2.0

2026年5月7日

 2026年4月下旬、米東部ニュージャージー州モンマス郡で、昨年と今年、反トランプの「王様はいならい」抗議運動に参加した米国人女性ヴィクトリア・スミス氏(仮名 白人女性56歳 以下ヴィクトリア)を対象に、現地ヒアリング調査を実施した。ヴィクトリアは、三権分立を軽視するドナルド・トランプ米大統領(以下、初出以外敬称および官職名略)を「王様」と呼び、エプスタイン事件に抗議し、物価高の是正を求め、イラン戦争反対の声を上げている。

 彼女は、トランプが大統領に就任した2017年から、種々の反トランプの運動に参加してきた筋金入りの活動家だ。

「私は保守派の男性と結婚する気持ちは全くありませんでした」

 ヴィクトリアは、自身をプログレッシブ(進歩的)と呼び、それを誇りに思っている。大学でドイツ文学を専攻し、現在セラピストの職に就いている。

 彼女は犬好きだ。だが、彼女にはトランプが押し付けようとした「犬好き=共和党」のイメージはない。トランプは、警察犬や闘犬といった強い犬を好み、前回の米大統領選挙で支配するイメージを作った。

 また、ヴィクトリアはガーデニングをし、夫と一緒に全米の野球場へ足を運ぶほどの野球好きだ。特に、ロサンジェルス・ドジャーズの大ファンで、大谷・山本・佐々木の3選手を応援している。自宅にある大型テレビのスクリーンの前で、「ロウキ」に檄を飛ばしていた。

 ヴィクトリアは、トランプをどうみているのか。以下で、彼女の声の一部を紹介しよう。

ヴィクトリアの懸念

「米国は1776年から王様はいない」のプラカード(筆者撮影 東部ニュージャージー州)

 ヴィクトリアは、ニュージャージー州で軍事政権のミャンマーから米国に渡った若者の難民の世話をするなど、人権活動にも関与してきた。筆者が彼女の自宅を訪ねると、今年3月28日の「王様はいらない」抗議活動に参加したときに使用した手作りの2枚のプラカードを見せてくれた(写真参照)。一枚には、「米国は1776年から王様はいない」、もう一枚には「すべての人々に自由と正義を」と書かれてあった。

 まず、彼女は「王様はいらない」抗議運動に参加する意義について、次のように説明した。

「トランプに対して反対の意思を示すだけではありません。米国には反トランプの国民が大勢いることを世界の人々に伝えたいのです」

 ヴィクトリアは、トランプの数々の言動、殊に「脅し」が、世界における米国の立場を弱め、同国が世界から尊敬を失ってきているのではないかと懸念していた。彼女が真っ先に挙げたトランプの脅しが、イランに対して自身のSNSで投稿した「文明がまるごと滅びる」であった。このトランプの投稿は、核兵器使用を示唆していると指摘され、厳しく非難された。

 では、米国民はどのようにトランプのこの投稿に反応したのだろうか。米CBSニュースと調査会社ユーガブの全国共同世論調査(2026年4月8~10日実施)によれば、「文明がまるごと滅びる」の投稿に対して、10%が「とても好き」、9%が「少し好き」と回答し、約2割が肯定的に捉えた。一方、12%が「少し嫌い」、47%が「とても嫌い」と答え、約6割が否定的な考えを示した。21%は「どちらでもない」と回答した。

 世論調査で定評のある米クイニピアック大学(東部コネチカット州)による全国世論調査(2026年4月9日~13日実施)の結果もみてみよう。同調査では、「イランに対する軍事行動の結果、米国の世界における立場はより強くなったか、弱くなったか」の質問に対して、30%が「より強くなった」、45%が「より弱くなった」、22%が「変わらない」、3%が「分からない」と答えた。「より弱くなった」が「より強くなった」を15ポイント上回った。

 ヴィクトリアは、「文明がまるごと滅びる」の投稿を全く受け入れることができず、イラン攻撃により世界における米国の立場は「より弱くなった」と考えていた。


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